矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2018.09.06

【デジタライゼーションが雇用に与えるインパクト、私たちにとっての脅威そして機会】①

 「Industry 4.0」、「第4次産業革命」という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。2011年からドイツ政府が進めている、製造業のデジタル革新への取り組みです。

 社会や産業のデジタライゼーションが労働市場に与えるインパクトは、(1)労働の終焉=雇用減、(2)雇用の二極化=中間層の収縮・格差の拡大、(3)新たな役割の創出=雇用増、に大分されるかと思います。2014年、オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士のが発表した研究結果は、世界中に衝撃を与えました。「今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化される」。しかしこれには、「(3)新たな役割の創出=雇用増」は加味されていませんでした。

 オズボーン&フレイの研究結果を受け、ドイツ国民はパニックになりました。「政府が進める政策は、我々の仕事を奪ってしまうものだったというのか?」これに対し、ドイツのZEW研究所は「自動化される仕事は9%」と示しました。ZEWは先に挙げた「(3)新たな役割の創出=雇用増」を加味するだけでなく、「(4)労働者全体の能力向上」に言及しました。即ち、「デジタライゼーションに脅威を覚えた人間が奮起し、人間のアウトプット品質が上がる」ことを指摘したのです。

 その後ドイツでは、「Industry 4.0」を追いかける形で、「Work 4.0」の議論が始まりました。「Work 4.0」とは、第4次産業革命が実現した世界…つまり、運転手や郵便配達員に代わって自動運搬装置が活躍し、外科医に代わって優秀なロボットが自動手術を担い、建設作業員に代わって3Dプリンタが住宅を大量生産しているかもしれない… そんな未来の中で、雇用や労働に関する課題を予測し、予防策に繋げる動きを指します。(加藤 佳奈)

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