保険業界では現在、「顧客本位の業務運営」をどのように実現していくかが大きなテーマとなっています。生命保険業界ではフルコミッション制のあり方や販売体制の見直しが議論され、損害保険業界では一連の不適切事案を受けて代理店管理や募集品質向上に向けた取組が進められています。
こうした中、金融庁と国土交通省は2026年10月13日に、一般社団法人日本損害保険協会に対し、代理店業務品質評価制度の適切な運用を求める要請を公表しました。要請文では、一部代理店から「過度な態勢整備を求められている」「十分な対話を経ないまま委託契約解除が示唆された」といった声が寄せられていることが紹介されています。また、代理店の減少によって顧客との接点が縮小し、自賠責保険の加入機会が失われる可能性についても言及されています。
もちろん、不正の再発防止や募集品質の向上は、消費者保護の観点から極めて重要です。業界全体の信頼回復のためにも、こうした取組を進めていく必要があります。
ただ、今回の要請文では、代理店の減少による顧客接点の縮小にも言及されています。本要請の趣旨は代理店業務品質の向上にありますが、その一方で、消費者が保険にアクセスできる環境を維持することの重要性も示されているように感じました。
私が今年8月に実施した「2026 保険に関する消費者の理解度・意識調査」でも、保険商品や制度を十分理解していると回答した消費者は決して多くありませんでした。保険の内容が複雑化するなか、消費者にとっては、必要な時に相談できる身近な接点の存在がこれまで以上に重要になっているように思われます。
業界が信頼回復に向けた見直しを進めるなか、その議論が制度やルールの整備だけにとどまるのではなく、消費者の理解向上や相談しやすい環境づくりにつながっているのかという視点も忘れてはならないと考えます。
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なお、当社矢野経済研究所では「2026 保険に関する消費者の理解度・意識調査」を発刊しております。保険に対する消費者の理解度や意識の実態についてアンケート調査をもとに分析したレポートです。保険業界で制度改革や顧客本位の業務運営に関する議論が進むなか、その受け手である消費者の視点を知るうえでの参考資料としてご活用いただければ幸いです。
2026 保険に関する消費者の理解度・意識調査 | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
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