2026年9月28日、Octave(オクターブ)のアナリスト説明会に参加した。同社は、プラントや工場、社会インフラ、エネルギー施設などの重要資産を対象に、設計・建設から運転・保全、保護までのライフサイクル全体を支えるソフトウェアを提供する企業である。スウェーデン・ストックホルムに本社を置き、計測技術の世界的リーダーとして計測用のハードウェアとソフトウェアを手がけるHexagon ABから、プラントやインフラ向けのソフトウェア事業などが独立して誕生し、2026年5月にNasdaqに上場している。同社は、新会社としてのビジョンや日本市場での成長戦略、産業AIの活用状況を紹介する目的で説明会を開催し、米本社の最高製品責任者(CPO)ジェイ・アラダイス氏が登壇した。
同社はまず、資産集約型の産業では設計・建設・運転保全・保護の各段階がサイロ化しており、設計の不正確さによる建設段階での手戻りや、断片的なセキュリティ管理によるリスクの増大、建設段階のデータが運転に引き継がれず、故障などが起きてから対応する保全にとどまっていることなどが課題になっていると指摘した。これに対し、「Octaveプラットフォーム」で意思決定を支援する方針を示した。同プラットフォームは、200以上のコネクターでIT/OTデータへのアクセスを標準化・管理し、データをライフサイクル全体で再利用できる形に整えるとともに、産業向けのAI「Octave AI」を業務の流れに組み込むものである。現在は一部の顧客とともに開発を進めており、2027年第1四半期に全顧客への提供開始を予定している。
AIについては、データのコンテキスト化による「基盤」づくり、既存製品にAIを組み込む「組み込み型AI」、人が関与しながら業務を遂行する「自律型AI」の3つの観点から取り組むとした。事例として、建設スケジュールの最適化により工期を100日以上短縮し、分析時間を数時間から数秒に短縮した例を紹介した。
同社は日本を、設備の老朽化や人材不足といった課題を抱える重要な市場と位置付けた。また、同社が実施した産業AI調査をもとに、日本ではAI活用の基盤がまだ形成段階にあると説明した。今後は日本市場に合わせたソリューションへの投資を続け、エネルギーや製造、交通の分野を中心に、顧客の生産性向上を支援していくという。
設備の老朽化や熟練人材の不足は、日本の産業界にとって切実な課題である。設計から運転・保全までのデータをつなぎ、AIで活用するという同社の取り組みは、こうした課題への一つの解決策となり得る。独立した新会社として、日本市場で今後どのような展開を進めるのか、注目したい。
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