矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2018.08.02

AIにできない仕事⑭  AIはブルースを歌えない

AI(人工知能)がやがて人間の仕事の多くを代替していくって本当でしょうか。でも、AIにもできない仕事があるのでは?

夜の港。汽笛が鳴っている。別れようとしている男女。街の灯りが滲んで見えるのは、さっきから降り出した小雨のせいではないかもしれない。男は夢を追ったが果たせず、女は夢見がちな男を憎み切れない。歯を食いしばって耐えたがうまく世渡りできず、ふたりの生活は終ろうとしている。ここでブルース。少ししわがれた声で歌う「〇〇ベイ・ブルース」。(写真はイメージ)

昭和に流行った演歌ともR&Bともつかないこうした日本製ブルースの世界観は、AIの時代にも存在するのでしょうか。

AIが普及した時代では、夢を実現させるために必要な具体的で詳細なビジネスプランニングや、投資家を説得させるためのプレゼン資料や、誰に対して話を持ち掛ければいいかについての助言などは、全てAIがうまくさばいてくれるのではないでしょうか。

必要なのは「自分の夢をどうしてもかなえたい!」という人間の気持ちになるのではないでしょうか。

もしも歯をくいしばって耐えても駄目な世渡りについては、「どこに問題があって、それを解決するための手段や、可能性」について、AIが様々な対策を提示してくれるのではないでしょうか。

必要なのは「とりあえずこの人と一緒にいよう」という人間の気持ちになるのではないでしょうか。

むしろ現実世界に受け入れられない夢を抱くことや、夢にかけてみようとすることは、既存のビジネス・既存の社会にイノベーションをもたらしうる貴重な存在であり、貴重なアイデアと見なされるかもしれません。つまり「夢見るチカラ」こそが人間の重要な価値であり、後はAIが何とでもしてくれるということです。

しかし、それではAIの時代には、もはや日本製ブルースの世界観は存在できないのでしょうか?(次回に続く)

(森 健一郎)

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