生成AIの活用が広がる中、EC業界では、AIを業務支援に活用する段階から、AIエージェントが商品を検索・比較し、購買を支援する「Agentic Commerce」への対応に向けた動きが始まっています。
矢野経済研究所が実施した「2026 EC事業者における生成AI・AIエージェント活用実態とAgentic Commerceへの対応意向調査」(2026年9月30日発刊予定)では、生成AIを継続的に活用している企業は78.3%に達しました。また、AIエージェントを実際の業務で活用する企業に加え、すでにAgentic Commerceへの対応を進める企業も確認されており、EC事業者のAI活用は「生成AI」から「AIエージェント」、さらに「Agentic Commerce」へと段階的に高度化していることがうかがえます。
特に注目されるのが、Agentic Commerceへの対応によって期待する効果です。「商品情報の最適化により、AIエージェントによる推薦・比較対象として選ばれやすくなる(露出機会の増加)」をはじめ、「売上・コンバージョン率の向上」、「AIエージェント経由での新規顧客接点・販売チャネルの拡大」などへの期待がみられました。
これまでのECでは、検索結果や広告、ECモールなどを通じて消費者に商品を見つけてもらうことが重要でした。一方、AIエージェントが購買行動に関与するようになれば、消費者に代わってAIが商品情報を理解し、条件に合った商品を比較・推薦する場面が増える可能性があります。そのためEC事業者にとっては、商品をECサイトに掲載するだけでなく、「AIに商品を正しく理解してもらい、推薦・比較の対象として選ばれる」ための商品情報の整備が重要になります。
実際、AI時代に向けて今後重点的に投資したい分野では、「ECシステム・ECプラットフォームの機能強化」、「PIM(商品情報管理システム)の導入・強化」、「商品情報・商品コンテンツの整備」などが上位に挙がりました。AIツールそのものだけでなく、AIが活用できる商品情報やEC基盤、システム連携への投資も重視されています。
Agentic Commerce対応企業では、今後さらに対応範囲を拡充する意向もみられており、今後はAIエージェントを前提としたEC環境の整備が進むことが予想されます。
Agentic Commerceは、単なる新しいAI技術の導入ではなく、消費者の商品発見や比較、購入といった購買プロセスそのものを変える可能性があります。今後のEC市場では、「人に見つけてもらう」だけでなく、「AIに理解され、推薦される」ための商品情報・EC基盤の整備が、新たな競争軸の一つになることが期待されます。
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