矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2018.01.24

【イベントレポート】コストを大幅に削減するIoT開発ツール「Palette IoT」 ―まずはスマホの「ながら運転」防止へ―

IoTテクノロジーベンチャー企業である株式会社Momoは記者会見を開催した(2017/12/20)。代表取締役の大津真人氏は、IoT開発ツール「Palette IoT」とスマホの「ながら運転」を撲滅するソリューションについて発表した。

 

Palette IoTは、スマホのアプリで閲覧・操作できるIoT開発ツールであり、回線契約やサーバー設定が不要となっている。特徴的なのは、開発コストを従来の数十分の一に削減した点と、操作性を高めた点である。センサーを設置し、アプリをダウンロード・操作するだけでIoTシステム開発環境が整う。以下、特徴を具体的に説明していく(写真参照)。

 

まず、必要な箇所にセンサーを設置し、送信基板を内蔵するリングホルダをスマホに取り付けるのみで、センシングが可能となる。 基板には消費電力が極めて少ないWi-SUN(※)を採用する。組み替え可能な8種類のセンサーを設け、温湿度の把握や人の検知などを行うことができる。

次に、開発においてプログラミングする必要がない。スマホ等にダウンロードした本アプリを起動し、ドラッグ&ドロップによりシステムを構築できる。なお、開発したシステムは本アプリ内で売買が可能であるとする。

 

また、Momo社は今回、Palette IoTをスマホの「ながら運転」撲滅ソリューションに応用した。具体的には、運転前にハンドルまたは運転席の下にセンサーを設置し、スマホに専用カバーをとりつける。運転中は、カバーに内蔵した機器がセンサーから信号を受信することで「運転中」と判断し、停車中であってもスマホの使用を禁止する仕組みとなっている。

大津氏によると、まずはアンドロイド端末に合ったカバーの提供から始めるという。今後の予定としては、2018年1月中旬に東京海上日動などと合同で実証実験を実施、将来的には保険料率との連動なども検討していきたいとしている。

__________

こうしたソリューションを普及させる上で、まずは近年増加する「ながらスマホ」による交通事故の防止策として、商用車やレンタカーなど事業者向けに提供し、費用対効果の高さを示すことが重要であろう。その上で、安全性を高める社会インフラとして、本格的に一般人の普通自動車や自転車にも広がっていく可能性があると推察する。

(井上圭介)

※1.5km程度の距離で相互通信を行う省電力無線通信規格。Momo社は、最大30台の端末をバケツリレー方式でつなぐことにより論理上45kmの距離までデータを送る。

株式会社Momo 代表取締役の大津真人氏
Palette IoT 概要

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422