2026年6月に改正保険業法が施行されました。今回の改正は、保険金不正請求事案や保険料調整行為事案などを受け、保険会社や保険代理店に対して、より一層の顧客本位の業務運営や適切な管理体制の整備を求めるものです。
改正内容は多岐にわたりますが、特に保険代理店の間で大きな関心を集めているのが比較推奨販売ルールの見直しです。
従来、比較推奨販売にはイ方式・ロ方式・ハ方式が存在していました。イ方式は取り扱う保険商品を比較説明した上で顧客自身に選択を委ねる方式、ロ方式は顧客の意向を踏まえて商品を推奨・提案する方式、ハ方式は顧客の意向に基づく選別を行わず、代理店が特定の商品を提案する方式です。
今回の改正では、このハ方式が廃止される方針が示されています(ただし、比較推奨販売に関する具体的なルールについては金融庁が別途公表するとしており、2026年7月時点ではまだ確定していません)。代理店は、なぜその商品を推奨したのかについて、今まで以上に客観的な説明が求められるようになっていくでしょう。
もっとも、実際の募集現場では「細かい違いは分からないので、おすすめの商品を教えてほしい」といった顧客も少なくないと思います。そのような場合であっても、代理店は顧客意向の把握や推奨理由の整理を行う必要があり、現場(代理店)の負担は確実に増すでしょう。
さらに、保険会社による代理店への過度な便宜供与も規制対象となることから、代理店はこれまで以上に自律的な業務運営や管理体制の構築を求められることになります。
こうした状況のなか、法改正対応を支援するソリューションも登場し始めています。代理店向けシステムを提供するhokanは、2026年7月に「比較推奨運用支援サービス」を発表し、同年秋からの提供を予定しています。また、コンタクトセンターやBPOサービスを提供するビーウィズも、保険代理店の法改正対応を支援するBPOサービスを展開することを発表しました。
改正保険業法によって代理店に求められる業務や管理項目は増えていきます。比較推奨の根拠整理や記録作成、管理体制の整備などに追われ、現場が疲弊してしまう可能性も否定できません。自社独自で対応するのか、システムを導入するのか、あるいは外部事業者へ委託するのか。特に中小規模の代理店ほど対応に苦慮する場面が増えていくのではないでしょうか。
見方を変えれば、今回の法改正は新たな市場を生み出しているともいえます。比較推奨管理やコンプライアンス対応、BPOサービス、教育・研修支援など、代理店の業務運営を支援する市場は今後さらに拡大する可能性があります。
ただ本来、今回の法改正の目的は顧客本位の業務運営を実現することにあります。法令対応が目的化するのではなく、顧客にとってより良い商品選択や提案につながるものとなるのか。制度が施行されたばかりということもあり、これからしばらくは手探りの運用が続くものと思われます。今後、取材などを通じて代理店側の率直な声も聞いてみたいところです。
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