Astemo株式会社と株式会社日立製作所は2026年5月20日、車両の智能化を加速する運転支援AIの開発基盤の構築・活用に向けて協業すると発表した。両社は、実走行データとデジタルツインで再現・創出したシナリオデータを組み合わせ、運転支援AIの学習・検証・展開を一体で回す基盤を2026年度末までに構築する方針を示している。さらに、AIの判断プロセスを可視化し、ブラックボックス化を防ぐオープンなプラットフォームとして、自動車メーカーやサプライヤーなどのパートナーにも提供していく考えだ。
https://www.hitachi.com/content/dam/hitachi/global/ja_jp/press/files/2026/05/0520a.pdf
今回の発表では、具体的な運転支援機能の高度化ではなく、「AIをどう開発し、どう鍛え、どう安全に活用していくか」という視点で述べられている点が印象的だった。SDV(Software-Defined Vehicle)では、ソフトウェア更新によって機能を高めることが競争力の源泉とされてきたが、運転支援や自動運転の領域では、もはやソフトウェアだけでは差はつきにくい。実走行では再現しにくい危険シナリオや、部品の劣化、性能ばらつき、急なブレーキ操作といった複合条件まで含め、今後はAIを継続的に学習・検証できる環境そのものが競争力となると推測する。
話は変わるが、2026年4月、日産自動車が打ち出した長期ビジョンの中で「AIDV(AI-Defined Vehicle)」を事業の中核に位置付けた。日産は、AIドライブ技術とAIパートナー技術を組み合わせることで、移動そのものを進化させ、クルマの価値を再定義していく構想を示している。今回のAstemoと日立の協業も、SDVの延長線上にある取り組みというより、むしろAIが車を定義していく世界=AIDVを下支えする産業基盤づくりの第一歩として捉えることができる。
さらにAstemoと日立製作所は、将来的にこの基盤をモビリティ分野だけでなく、物流やエネルギーなど他産業とのデータ連携にもつなげる構想を示している。こうなると、車はもはや単体製品ではなく、AIを基盤とした巨大なエコシステムの中心となる可能性も秘めており、非常に興味深い。
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