矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2026.05.19

「PayPay上場後初の決算発表、決済・金融の両輪での成長を継続」

2026年5月7日、PayPayは2026年3月期(FY2025)の決算発表を行った。同社は2026年3月に米NASDAQ市場へ上場しており、今回が上場後初の通期決算発表となる。
https://ir.paypay.ne.jp/jp/
 
2026年3月期の営業収益は3,807億円(前期比27%増)、調整後EBITDA(利払い/税引き/減価償却前の利益)は1,111億円(同89%増)となった。営業収益のうち、59%を決済手数料等、41%を金融+決済金利が占める構成となっており、両者ともに対前年25%増を超える高成長を実現している。
 
同社の決済セグメントにおいては、GMV(決済取扱高)が19兆円に達し、内訳としてはPayPay残高が10.8兆円、PayPayクレジットが4.6兆円、PayPayカードが3.5兆円となった。GMVの堅調な拡大に加え、決済手数料率の高いオンライン決済の構成比の増加や、PayPayカードの金融関連残高の増加に伴う金利収入の拡大もあり、セグメント全体で成長基調を継続している。
金融サービスセグメントにおいても、PayPay銀行の預金口座数が1,000万口座を超え、PayPay証券の口座数も173万口座(前年同期比36万口座増)に拡大するなど成長を続けており、金融関連収益の成長率は決済関連収益を上回った。
 
上記の通り、同社は収益基盤の多様化を進めており、今後も祖業である決済と、新たな柱である金融の両輪での成長を目指している。その第一歩として、PayPay銀行がPayPay加盟店向けのレンディングサービスの本格提供を開始した。同サービスでは膨大な決済データに基づく独自の与信モデルを通じ、必要な資金の即自貸出を実現可能であり、PayPayとしてはこのサービスをデータドリブンなプロダクトの象徴と位置づけている。この一例に限らず、決済・銀行・証券などあらゆる領域でサービスの再定義に取り組んでいく方針である。
 
近年は、キャッシュレス決済サービス市場の参入事業者各社ともに、決済を起点として銀行・投資・保険といった金融サービスを総合的に提供する取組みに注力している。2025年10月にNTTドコモが住信SBIネット銀行を連結子会社化(2026年8月には「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更を予定)したことで、国内の主要なコード決済事業者のすべてがグループ内に銀行を保有する形となった。その中で、PayPayの好調を示した今回の決算発表の通り、国内のキャッシュレス市場においては決済という「点」に留まらず、多様な金融サービスを含めた「面」での争いの様相がますます強まっていくと見込む。

都築 励(ツヅキ レイ) 研究員
ICT・金融分野は技術革新と規制の変化が絶えず、常に新しい可能性と課題が生まれる領域と感じています。調査を通じて最新かつ信頼性の高い情報を提供し、皆さまのビジネスにおける意思決定や課題解決をご支援できるよう、精進して参ります。

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