少し前になりますが、4月に東京ビッグサイトで開催されていた海事産業の展示会「Sea Japan 2026」に参加してきました。きっかけは、ホルムズ海峡を巡る緊張など、地政学リスクを背景に船舶の航行が滞り、物流に影響が及ぶニュースを目にする機会が増えたことです。日本は輸入依存度が高い国であり、海運の安定性が揺らぐことによる影響は決して小さくありません。こうした理由を背景に、近年の海事産業の動向を確認したいと思い、会場を訪れました。
会場では、環境対応や自動化、デジタル化など、様々なテーマで企業が出展していましたが、全体を通じて特に印象に残ったのが「セキュリティ」というキーワードでした。外航分野では、Starlinkに代表される低軌道衛星通信の活用が進んでおり、従来の静止衛星通信と比べて、陸上に近い感覚で常時通信が可能になりつつあります。船舶が「つながる」ことは、運航管理や効率化の面で大きなメリットをもたらす一方で、新たなリスクも生み出していると感じました。
船舶はAISなどにより位置情報が可視化されています。もし通信やシステムがサイバー攻撃を受け、誤った情報が伝達されるような事態が起これば、船舶の安全運航だけでなく、物流全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。戦争や紛争によって航路が止まるケースとは異なり、サイバーリスクによって「見えない形で物流が止まる」可能性が、現実のものとして意識されるようになってきました。
地政学リスクを完全に回避することは難しい一方で、サイバーセキュリティについては、技術や運用によってリスクを下げる余地があります。輸入依存度の高い日本にとって、海運の安定は経済活動の基盤です。Sea Japan2026は、海事産業におけるセキュリティ対策の重要性が、今後さらに高まっていくことを改めて認識させる展示会でした。
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