矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2026.04.17

GPUだけでは足りない、NVIDIAがGTCで光通信に投資した理由

今年3月16日に開催されたNVIDIAのGTC発表では、GPU性能競争そのものよりも、AIデータセンター全体をどう設計し運用するかという議論が浮上した。

https://nvidianews.nvidia.com/

 

NVIDIAは今回の発表で推論の拡大と、ヴェラ(Vera)CPU、ファインマン(Feynman)プラットフォームなどシステム単位の戦略を併せて打ち出し、チップ供給者の立場からAIインフラ設計者へという移行がより鮮明になったことを示した。その流れには以下のような背景があるとされる。

 

「AIの5段ケーキ」の底が揺れている:AIサービスをケーキに例えると、最上層から<アプリケーション⇒モデル⇒推論エンジン⇒サーバー⇒チップと接続網(最下層)>となる。これまでは、主に上層での競争が激しかった。しかしデータの往来が急増するにつれ、ボトルネックはチップ内部ではなく、チップ間、サーバー間、ラック間、つまり底で大きくなっている。ヴェラCPUはまさにこの地点、GPUと接続網の間でデータの流れを調整する役割を担う。これにより、CPUとネットワーク、電力効率が再び核心として浮上した。

 

「光」へ向かう理由は電力だけではない:ここで光通信が重要になる。NVIDIAは3月初旬、Coherent社・Lumentum社と同時に戦略的パートナーシップを発表した。Coherentはシリコンフォトニクス、Lumentumはレーザー部品を供給する米国の光技術企業であり、NVIDIAは両社にそれぞれ20億ドルずつ計40億ドルを投資し、レーザー・光ネットワーク製品に対する数十億ドル規模の複数年契約まで締結した。光通信ベースの接続は電力効率にとどまらず、従来比でエネルギー消費を70%以上削減しながら、信号完全性とネットワーク復元力、導入速度の面でも利点を持つためである。

 

これは国内でNTTグループが推進するIOWN構想の中心軸であるAPNと類似した方向性を共有している。同グループはAPNを通じて光技術をデバイスからネットワークまで適用し、大容量・低遅延・低電力伝送を目指すと説明している。AIインフラのボトルネックが演算そのものよりデータ移動と電力効率へと移行するなか、「光」は通信網の外ではなくデータセンター内部でも核心技術として浮上している。これを踏まえると、今回のGTCの核心はより強力なGPUだけでなく、そのGPUをつなぐ接続構造の変化にもあると言えるだろう。この転換が加速するほど、光通信市場の構造的な成長可能性も高まることが期待される。

曺 銀瑚(ゾ ウノ) 研究員
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