矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2026.04.16

MUFG·NTT、金融システム向けIOWN APN実証結果を公開

金融システムインフラの中心的な課題の一つが、災害や障害発生時におけるサービス継続性の確保といえる。これに対応するため、銀行は複数の地域にデータセンターを分散させて運用するが、センター間の距離が広がるにつれ、リアルタイムでのデータ同期が技術的に困難になるという制約が生じる。このため金融インフラは事実上、近距離分散にとどまってきており、広域分散構成は性能上の問題から現実的な選択肢になり得なかったとみられる。この制約は以前から金融業界で認識されてきた。

 

三菱UFJ銀行、NTTデータグループ、NTT西日本の3社は、この制約に対する技術的な解法として、IOWN APN(All-Photonics Network)の金融システムへの適用可能性を検証した。3社はNTT主導のグローバルコンソーシアムであるIOWN GF(Global Forum)の金融ユースケースプロジェクトの一環として、実際のデータセンター環境を想定したPoCを実施し、その結果を2025年12月にホワイトペーパーとして公開した。

 

当PoCは単発の実験ではなく、2024年7月よりIOWN GFで金融ユースケースと要求性能を定義し、2025年2月にはその実装に向けたアーキテクチャと検証基準を整理していた。その上で実際にシステムを構成し性能を計測した段階にあたり、概念から設計、検証へと続く流れが今回の発表をもって完結している。また、実証の前面に立ったのがMUFGである点は、この取り組みが技術検証の域を超え、金融インフラの需要側における実質的な検討へと移行しつつある可能性を示唆している。

 

https://iowngf.org/inter-dc-vm-migration-and-long-distance-db-replication-for-financial-industry/

曺 銀瑚(ゾ ウノ) 研究員
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