戦争や災害によって道路が寸断され、地域が外部から孤立する状況では、医薬品や食料と同じように外部とつながる通信が重要になる。こうした状況を想定した実証が国内で行われた。
ソフトバンクは2025年12月、愛媛県伊方町でドローンを用いて医療物資と衛星インターネット機器を同時に輸送する実証実験を実施した。実験では医薬品輸送を想定した貨物に加え、米SpaceXが運用する衛星インターネットサービスStarlink用の小型アンテナ「Starlink Mini」もドローンで運搬。山間部を含む約3kmの航路で物資を届ける飛行が実運用に近い形で行われた。この実証は、医薬品などの支援物資と同様に通信機器も災害対応に不可欠な資源として扱い、孤立地域へ同時に届ける物流体制を検証することを目的としている。
医薬品などの物資と同様に通信手段を確保する必要性は、すでに戦場でも現実の課題となっている。2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻の初期、攻撃によってウクライナの一部地域の通信インフラが停止した際、Starlink端末が緊急投入された。地上通信網が不安定な状況の中で、衛星インターネットはウクライナ政府や軍、救援機関が外部と接続する通信手段の一つとして利用され、戦場ではドローン運用や指揮通信、現場映像の送信などにも活用されたとされる。通信インフラが途絶した状況において、衛星ネットワークが代替通信手段として機能し得ることを示した事例といえる。こうした状況を背景に、低軌道衛星を用いた通信インフラの重要性が改めて注目されている。