当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。
2月9日、財務省は2025年の国際収支状況(速報)を発表した。輸出は半導体部品や食料品が好調で107兆7,630億円(前年比+2.5%)、輸入はエネルギー価格の下落もあり108兆6,118億円(同▲0.1%)、差し引き8,487億円の赤字となったが赤字幅は前年比+2兆8,115億円と改善された。サービス収支は、旅行収支の6兆3,429億円、アニメ等のコンテンツを含む知的財産収支における3兆1,732億円の黒字を巨大IT企業への支払など所謂“デジタル関連支出”が飲み込み、3兆3,928億円の赤字となった。
結果、「貿易・サービス収支」は4兆2,415億円の赤字、一方、経常収支全体は31兆8,799億円の黒字、2年連続で過去最高を更新した。海外子会社からの配当など直接投資収益が拡大したことにより第一次所得収支が前年比104.7%、41兆5,903億円と過去最高となったことが主因である。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の「2025年度海外進出日系企業実態調査」(2025年11月)によると2025年に黒字を見込む海外進出日系企業の割合は66.5%(前年比+0.6%)、大企業では7割を越える。地域別ではUAEが83.3%、豪州、韓国、ブラジル、南アフリカ、インドも75%を越える。一方、トランプ関税の影響を受ける米国やメキシコ、低成長が続く中国、インドネシアでは3割以上が営業利益の悪化を見込む。しかし、後者にあっても黒字企業の割合は6割を越える。第一次所得収支で稼ぐ国際収支の構造は不変ということだ。
自由貿易への信任が失われつつある中、産業政策の論点は“経済安全保障”に向かう。確かにここ数年、パンデミック、相手国の政治・経済環境の急変、地政学リスクの拡大など、海外投資の不確実性とリスクが顕在化した。仕入先や販路の分散が難しい中小企業、新興国の成長コストに耐えられない企業にとって“撤退”の判断は止むを得ない。ただ、国内回帰ですべてが解決するわけではない。グローバル経済におけるプレゼンスの拡大もまた戦略的BCPであり、すなわち経済安全保障投資である。要するに個々の企業の収益力向上こそが総体としての安全保障の礎になるということである。
今週の“ひらめき”視点 2026.2.8 - 2.12
代表取締役社長 水越 孝
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。