自動車事故の予防文脈において、ドライバーの健康状態を起点に安全運転を促す取り組みが広がっている。特に損害保険会社やテレマティクス関連企業の間では、認知機能や脳健康、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)などの健康支援サービスと連携する動きが活発化している。
直近ではアクサ損害保険が2026年1月、自動車保険契約者向けに「スマート脳ドック」「MVision health」「あたまの健康チェック」の特別価格紹介を開始したと発表しており、疾病起因事故や高齢運転者の認知機能低下に対応し、脳・認知の定期チェックを促す施策として位置づけるとのことである。
損保ジャパンは2025年10月、東京医科大学発スタートアップMEDEMILと業務提携を行うと発表しており、ドライブレコーダー等の運転挙動データと眼球運動解析「MEDEMIL Drive®」を組み合わせ、運転能力を科学的に多角評価する枠組みの構築を目指すとした。高齢ドライバーの安全運転支援や職業運転者の就労継続、ライドシェア領域まで視野に入れた展開になるとのことである。
損保系に限らず、運行管理プラットフォーム側の連携も動いている。都築電気は2026年1月、クラウド型動態管理サービス「TCloud for SCM」とharmoの運輸向け健康支援ソリューションの統合提案を開始したと発表しており、将来的な機能・データ連携も見据え、PHR×運行管理で“健康起因の事故ゼロ”と現場の負荷軽減を狙うとのことである。
背景には、運転寿命の延伸とドライバー不足の深刻化がある。健康リスクを放置すれば事故や逸走、急な離職につながる一方、早期の気づきと支援により「運転を続けられる期間」を伸ばせる可能性がある。 今後の焦点は、これらの仕組みが“現場で使い続けられるか”である。導入の発表で終わらせず、日々の運用にきちんとなじむか。その「定着」が、この取り組みの価値を決めるだろう。
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