矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2018.07.03

【アナリストオピニオン】AIで在庫の適正化を図れるか

関心高まる在庫の適正化

何十年もの間、欠品や過剰在庫など、在庫の適正化が製造業者にとって大きな課題のひとつになっている。在庫の適正化との関係では、近年特に、AIという新しいテクノロジーを用いた需要予測が注目を集め、今また在庫の適正化について取り組もうとする企業が増加基調にある。例えば江崎グリコが2020年を目途に生産管理システムのリプレイスを進めているが、それに先駆けて2017年6月に需要予測エンジンを稼働させた。こうした例にみるように、大手企業が生産管理システム(SCM)をリプレイスする際に在庫の適正化について改めて検討していると見受けられる事例も出てきた。

在庫の適正化×AIで熱が高まっているのが需要予測である。しかしAIを用いずとも需要は予測できるし、AIで予測したからといって予測の精度が100%になることはないと筆者は考える。なぜなら、予告なく自社製品がテレビで取り上げられ、爆発的に売れるなどといった事象は今後もなくなることはないからである。また、AIは今のところ誰もが気軽に利用できるものではない。さらに、在庫の適正化も企業にとって最終的な目的ではないはずである。在庫の適正化によるコスト削減、顧客満足度の向上など、その先の目的があるはずだ。だとすれば現時点でAIに飛びつくようなことはせず、自社の目的や製造ラインなど様々なことを鑑みた上でユーザは在庫の適正化に取り組むべきである。とはいえ、勘からデータへの流れは首肯できる。

今回、在庫の適正化を支援するいくつかの企業に取材に行った。これらの企業はそれぞれ製品の強みを持ちながら顧客ビジネスの深耕にも注力している。製造業者が扱う製品は様々で、また例えば同じように石鹸を製造する事業者同士であっても、企業ごとに石鹸に対する優先順位は異なるだろう。したがって各ベンダや製品には個社と向き合う柔軟性が求められるといえる。本稿では、そのような柔軟性も兼ね備えた在庫の適正化を支援するいくつかの製品/サービス等を紹介する。

 

 

 

グローバル対応と柔軟性~東洋ビジネスエンジニアリング

東洋ビジネスエンジニアリングが提供する製造業向けパッケージ「mcframe」の大きなコアコンピタンスとしてまず頭に浮かぶのは、グローバル対応であること、及びパッケージであるにも関わらず柔軟なシステムであることである。製造業者は中堅以下の企業であってもグローバルを視野に入れて展開している企業が多い。そうしたこともあり、同社は2017年8月、北米にも現地法人を設立した。今後ますますワールドワイドに展開していくことが予想される。

また、柔軟性の面について、mcframeはセミカスタムメードを形にしている。製造業の多くにとってベースとなる機能を共通フレームワークとして提供し、各ユーザの個性についてはフレームワーク上で追加開発し、部品として積み重ねている。基本トレーニングを積めばユーザ自身で開発することも可能なため、各ユーザはかゆいところに手が届く、自社好みのシステムを手に入れることができる。

同製品の今後をみる際にポイントのひとつになるのが、広範なプロダクトポートフォリオである。mcframeは様々なシリーズがあらゆる方向に向けて有機的に連携している。そのコアこそ生産・販売・原価管理ソリューションだが、全体をみればPLMやIoTなどユーザのものづくりに関するプロダクトライフサイクル全般をデジタルで一元的に管理できるグローバルものづくりプラットフォームとみることができる。そのため、同製品の機能強化も本稿で取り上げた在庫の適正管理を含め、全体最適の視点で行われていくだろう。

【図表:mcframeのプロダクトポートフォリオ】

 

 
図表:mcframeのプロダクトポートフォリオ
 

 

出所:東洋ビジネスエンジニアリング株式会社

○全文はこちらからご覧になれます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/237

小山 博子(コヤマ ヒロコ) 主任研究員
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