当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。
10月18日、トランプ大統領の強権的な権力行使に対する抗議デモが首都ワシントン、ニューヨーク、シカゴなど全米50州、2700か所以上で開催された。スローガンは「NO KINGS(王様はいらない)」、700万人を越える米国民が「反トランプ」を訴えた。とりわけ、この2週間前、州兵の派遣が承認されたシカゴでは20万人もの市民がデモに参加、政権による権力の乱用を非難した。
首都ワシントン、ロサンゼルス、メンフィス、、、治安悪化を理由に次々と州兵の派兵が承認される。「犯罪と暴動が蔓延、制御不能な無法状態にある」とされたシカゴもまた然りだ。とは言え、今年上半期の殺人事件は前年比3割減(米刑事司法評議会)、重大犯罪は減少している。結果、裁判所はシカゴへの派兵を差し止めた。しかし、これに懲りる王様ではない。居並ぶ軍の高官を前に「派兵は“内なる敵”との戦いだ。騒乱を鎮圧するためにこれらの都市を訓練場として使いたい。納得できない者はクビだ」などと演説した。
派兵対象となった州・都市はいずれも民主党の地盤である。トランプ支持者はNO KINGSデモを「反米集会」と呼ぶ。政権の意に添わない国民は非国民というわけだ。英国訪問を終えた帰路、トランプ氏は自身に批判的な番組の司会者を名指ししたうえで、そうした番組を放送するテレビ局は免許を取り上げられるべき、と発言した。王様はもはや自身の独裁的志向を隠そうともしない。
米国防省は新たな報道規制に同意しない報道機関の記者証を剥奪した。米国土安全保障省も外国人記者のビザの有効期間も現行の5年から240日に短縮するという。情報は統制され、フェイクがフェイクのまま正当化され、強制される。これこそ強権国家の常套手段だ。国家機密を盾に歴史を隠ぺいしたい政府と真実を国民と共有することこそ国益と信じる記者たちとの戦いを描いたスティーブン・スピルバーグ監督の映画「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」(2018公開)の一場面が思い出される。最後に“輪転機”は回った。はたして世界はそこに抗い続けることができるか、他人事ではない。
今週の“ひらめき”視点 10.19 – 10.23
代表取締役社長 水越 孝
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。