今回の調査を通じて、印象に残ったのが「正常性バイアス」という心理的傾向についての話です。正常性バイアスとは、非常時に直面しても「自分は大丈夫だ」「これまでも問題なかったから、今回も大丈夫だろう」と考え、危険を過小評価してしまう心理のことを指します。この傾向によって、避難などの適切な行動が遅れてしまうリスクがあります。科学的な裏付けがあるわけではありませんが、実際に大きな災害を経験すればするほど、このバイアスが強まるのではないかという感覚を持ちます。
私自身、東日本大震災を仙台で経験していますが、その体験があるからこそ、災害時に「多少のことでは命に関わるような事態にはならないだろう」と、どこかで油断してしまう可能性を感じています。備蓄や避難所の確認など一定の備えはしていますが、いざという時に正常性バイアスが働いてしまえば、それらの対策も十分に機能しません。今回の調査は、災害への向き合い方を見直すという意味でも良いきっかけになりました。(今野 慧佑)
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。