矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2025.06.17

「政府は地方創生2.0の基本構想骨子案を公表」

政府は、地方創生2.0の基本構想に関する骨子案を公表した。政策例の一つとして挙げられているのが、関係人口の可視化を目的とした「ふるさと住民登録制度」の創設である。これは、住民票とは別に特定の地域を「第二のふるさと」として登録できる制度であり、地域が継続的に関係人口へアプローチしていくための仕組みとして一定の効果が期待される。
もっとも、制度が実装された際の運用には課題も多いと感じられる。関係人口は、観光客のような一時的な交流にとどまらず、地域とある程度の継続的な関係を築く人々を指す。私自身、旅先で「良い土地だ」と感じた地域はいくつもあるが、その後も定期的に訪れたり、名産品を継続的に購入することは少ない。関係人口を生み出すこと自体が簡単ではなく、効果的な施策を講じるには工夫が求められる。
さらに、一度つながりを持った関係人口を継続的に維持していくためには、定期的な情報発信やイベントの実施など、継続的な働きかけが不可欠である。観光資源や特産物に恵まれた地域であれば比較的取り組みやすいかもしれないが、資源が限られている地域にとっては制度を機能させるためのハードルが高くなる。
このように検討すべき事項は多いが、関係人口の創出は地方における人口減少という構造的課題の解決に資する可能性を持つ。実際、すでに一部の自治体が、観光地の活用や地域限定イベントの実施など、独自の工夫によって地域のファン層を形成しようとする取り組みを進めている。まずはこうした取り組みを積み重ね、成功事例を蓄積していくことが、制度を現実的かつ持続可能なものとする第一歩となるだろう。(今野慧佑)

今野 慧佑(コンノ ケイスケ) 研究員
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