https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_250519_c1.pdf
1. 概要
2030年頃の商用化を目標に研究開発を進めている第6世代移動通信システム(6G)は、単なる技術的進化にとどまらず、社会構造および人間・機械間関係性を根本から再定義するための基盤インフラとして位置付けられている。これに対し、NTTドコモは6Gにおける5つの価値を提唱し、中でも「AIのためのネットワーク(Network for AI)」の価値から、AI・ロボット・機械が人間と共存しながら最大限に性能を発揮できるネットワークインフラの実現を目指している。ドコモはまた、複数の企業と連携して開発した3種のコンセプトロボットを通じて、6Gにおける技術的方向性および実効性の検証を行っている。
2. ドコモが掲げる「6Gが目指す5つの価値」
ドコモは、2020年1月に『ドコモ6G ホワイトペーパー』を公表し、2030年の商用サービス実現を見据えた次世代通信システムのコンセプトを公開した。その後、国内外キャリアやベンダーとの協力を通じて、実証実験、標準化、技術要件の策定などを継続的に推進している。ドコモが提示した「6Gの5つの社会的・技術的価値」は以下である。
(1)サステナビリティ(Sustainability):IOWN(光電融合を基盤とする低消費電力・高速通信技術)およびAIによるネットワーク制御を組み合わせ、エネルギー効率の最大化とカーボンニュートラルの実現を図る。
(2)効率化(Efficiency):ネットワーク構造の簡素化、運用効率の向上、周波数資源の最適利用などを通じて、コストと性能の両立を目指す。
(3)顧客体験(Customer Experience):感覚伝達型の新しいコミュニケーション、精密な測位・センシング、障害耐性と継続性を備えた通信など、6Gならではの差別化された顧客体験の提供を志向する。
(4)AIのためのネットワーク(Network for AI):AI・ロボット・機械が自律的に学習・判断可能な環境を構築し、人と調和的に共働する「社会的AI」のネットワークレベルでの実現を目指す。
(5)コネクティビティ・エブリウェア(Connectivity Everywhere):衛星通信やHAPSなどの非地上系ネットワークと地上系ネットワークの統合により、場所を問わず安定した接続性を確保する。
とりわけ「Network for AI」は、高信頼・低遅延・多接続といった特性が要求される「超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)」時代の中核アーキテクチャであり、単なるAI基盤を超えて、人間・機械間協働の基盤を提供する構造として期待されている。
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