国立研究開発法人情報通信研究機構未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センターの研究グループは、VR空間で低空を自由に飛行する体験によって、VRで高所を歩行した際の恐怖反応が低減することを実証した。「自分は飛行できるので落下しても危険ではない」という行動ベースの予測を形成し、恐怖反応を抑える点が特徴であり、新たな恐怖消去法につながる成果となっている。
https://www.nict.go.jp/press/2025/05/14-1.html
本研究はVRを用いている点では曝露療法と共通するが、その核は繰り返しではなく行動予測である。曝露療法は、不安を引き起こす状況を複数回経験させて恐怖を徐々に弱める方法である。本実験は一回の飛行体験で高所恐怖が低減した点が曝露療法とは異なる。
この成果の背景には、最新のVRゴーグルがもたらす高い没入性能があると感じている。私も先日Apple Vision Proを試したが、ゴーグルを装着するだけで現実に近い体験が得られた。これほどの技術なら確かに本当に空を飛べるようになるという感覚を持つことも納得できる。現実世界で空を飛ぶ体験を整備するのはハードルが高い。一方で、VRなら室内で簡便に再現できる。こうした技術進歩が、恐怖症治療の選択肢を大きく広げるだろう。(今野慧佑)
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