ソニー銀行は、同社の勘定系システムを刷新、2025年5月から新勘定系システムとして、富士通の勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank(クロスバンク)」を採用、稼働を開始すると発表した。
富士通によると、同ソリューションはクラウドネイティブなアプリケーション構造を持っており、ネット銀行らしくさまざまな商品・サービス、取引機能をマイクロサービス化して実装、ビジネスアジリティの強化を図ったとする。ニュースリリースから察するに従来の勘定系システムはオンプレミスをベースとし、周辺システムのみ先行してクラウド化を進めてきたようだ。今回の新勘定系を契機に、勘定系を含むほぼ全システムのクラウド化を実現したとしている。
新勘定系ソリューションの特徴の1つとして、クラウドべースの強みである、スケーラビリティやマイクロサービスアーキテクチャに加えて、外部APIを挙げており、フロントチャネルの追加や外部接続先の追加が容易になった点を挙げる。
■ニュースリリース
富士通のソリューションを採用したソニー銀行様の新勘定系システムが稼働開始 : 富士通
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さて、リリースではシステムの全体像を掲載しているが、外部APIについて、どのようなAPIを公開しているかが気になるところ。通常、銀行のAPIは大きく参照系と更新系に区分され、どのようなAPIを公開するかによって、当該銀行の姿勢が見えるといってもよい。
参照系をメインとして更新系のAPIが少ないとすれば、それは中身がクラウド化されただけで、APIを通じて新たなアプリケーションを構築するサードパーティ側からすれば、メリットは少ないといえる。他方、更新系APIについても積極的に公開しているとすればメリットは大きく、コスト削減等以外でクラウド化した意味があるといえよう。そうした意味では、本システムに刷新した狙いは単にコスト削減やスケーラビリティなどに留まるのか、外部との連携によるイノベ―ティブな取組みなどを見据えたものなのか見えてこず、少し残念なところである。(山口 泰裕)
注)
参照系・・・口座情報を参照するためのAPI
更新系・・・口座の振込や振替など、資金移動を伴う取引を行うためのAPI
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