今回取材やイベントに足を運ぶなかで、「データ主権」「ソブリンクラウド」という単語を耳にする機会が多かった気がします。前者は概念で、後者は製品・サービスで異なりますが、両者ともざっくり言うと、国内で生まれたデータは国内で管理しようというものです。実際に、地政学リスクが高まり、安全保障の懸念も拡大しています。第2次トランプ政権となり、日米両国の緊密な関係性も不透明さがあらわになっています。日本の法律が適用され、日本国内でデータを管理し、日本国籍を有する人材がそれを運用する。従来からこれらの要望はありましたが、さらに強まった気もします。特にクラウド基盤の利用企業は大手製造業や金融業など比較的、セキュリティやコンプライアンスに厳格な業界で、さらに今後は政府機関や自治体での利用も拡大することから、データを国内で管理するニーズは高いと言えます。しかし、それがどこまで必要でしょうか。実際には、ベンダがシェアを外資系クラウドベンダに取られているため、そこを奪い返すために主権の重要性を喧伝しているだけかもしれません。どこまで本格的な需要として、データ主権は要件に組み込まれるのでしょうか。そして、そこに国産クラウドの商機はあるでしょうか。私は、少なくともあると信じています。国産クラウドを提供する一部事業者は、外資系クラウドのインテグレーション事業に舵を切っていますが、この潮流が国産クラウドの再興を促す、一つの転換点になってくれることを祈っています。
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