矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2024.10.25

【アナリストオピニオン】SDVを巡る開発競争が益々激化する車載ソフトウェア業界、競争領域と非競争領域の切り分けに注目②

SDVを巡る競争環境の変化――三つ巴から一騎討ち、その先へ

■従来、国内大手OEMは各々独自開発、3社三つ巴
さて、ここからはこうした市場規模の背景についてみておきたい。SDVを巡っては、従来、日本国内大手OEM3社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業)は各々においてビークルOSを筆頭に車載ソフトウェアの開発を進めている。まずトヨタ自動車は、デンソーやウーブン・バイ・トヨタなどと連携し、車載ソフトウェアに関するアーキテクチャの開発に向けて試行錯誤を繰り返しながら進めている。
また、日産自動車は、日立Astemoを中心に車載ソフトウェアのアーキテクチャを構築しているほか、北米向けエクストレイルのIVIユニットへのOTA機器の実装を契機として、アリアやセレナに運転支援を含む車両制御システムを実装するなど開発を進めている。
そして、本田技研工業もSoC半導体を含め、基盤となるE&Eアーキテクチャやその上部レイヤであるビークルOS、その上に乗るアプリケーションを独自開発しているほか、制御系についても個々のECUをコアECUに統合、セントラルアーキテクチャー型を採用することで、新たな感動体験(UX)をスピーディに実現すべく取組んでいる。

なお、本稿では言葉で表現しているものの、今回発刊した市場調査レポートには具体的に2012年以前/2018年ころ/2024年ころ/2027年ころ/2030年ころの各々のアーキテクチャについて当社の仮説を示し、アーキテクチャの変遷についても捉えている。

■2024年になり競争環境は大きく変化、三つ巴から一騎討ち、そしてその先へ
このように従来、国内大手3社は各々独自開発を進めてきたが、2024年になり競争環境が大きく変化してきている。具体的には、同年3月に日産自動車と本田技研工業、三菱自動車が自動車の知能化・電動化時代に向けた戦略的パートナーシップの検討開始に関する覚書を締結、続く同年8月には次世代SDVプラットフォームの基礎的要素技術の共同研究契約を締結した。
両者はまず1年をめどに基礎研究を終え、成果が出た際には、その後、量産開発の可能性を含めて検討していくとする。OEMが協業して車載ソフトウェアの開発を進める際には、各社のアイデンティティを維持すべく、各々独自で開発する競争領域と、共通化する非競争領域とに区分、非競争領域を中心に協業、開発していくとみられる。こうした動きにより、少なくてもSDVに焦点を当てた際には、トヨタ自動車vs日産自動車・本田技研工業連合の構図へと競争環境が変わりつつある。
ただし、SDVにおける車載ソフトウェアのアーキテクチャは初期の開発費に加えて、完成後も更なる進化に向けて毎年数千億円程度の投資を継続する必要性から、当社では上記の一騎打ちの構図が今後、さらに変化していく可能性があるとみている。(山口泰裕)

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/419

山口 泰裕(ヤマグチ ヤスヒロ) 主任研究員
ITを通じてあらゆる業界が連携してきています。こうした中、有望な業界は?競合・協業しうる企業は?参入障壁は?・・・など戦略を策定、実行に移す上でさまざまな課題が出てきます。現場を回り実態を掴み、必要な情報のご提供や戦略策定のご支援をさせて頂きたいと思います。お気軽にお声掛け頂ければと思います。

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