矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2024.08.23

【Zendesk、AI機能強化に向けたAWS・Anthropicとの連携を発表】

 2024年7月31日、株式会社Zendesk(以下、Zendesk)は、同社が提供するソリューションのAI機能について、AWSおよびAnthropicとの連携を発表した。同社は今年5月にAI機能を搭載した新たなカスタマーサービスソリューションを発表しており、2社との連携により、ユーザー企業に対してより最適化されたソリューションを提供していく考えだ。

 カスタマーサービスを効率的に行うためのクラウド型接客ツールで知られるZendeskは、顧客対応業務のさらなる効率化・品質向上支援に向けたAI活用に注力している。今年5月に実施した記者説明会では、AI時代に対応した包括的なソリューションとして、「AIエージェント」「エージェントCopilot」「Zendesk WFM」「Zendesk QA」の4つを発表した。ユーザー企業は、顧客と対話・質問対応まで行う「AIエージェント」や、過去のやり取りのデータの学習・分析結果から担当者をサポートする「エージェント Copilot」を活用することで、問い合わせにおける顧客の満足度を向上させることができる。また、人員管理予測ツールである「Zendesk WFM」や、顧客とのやり取りを評価・スコアリングする「Zendesk QA」により、カスタマーサービス部門の体制を最適化することも可能になる。

 今回発表されたパートナーシップの締結により、Zendeskのユーザー企業は、AWSの「Amazon Bedrock」、Anthropicの「Claude 3」を利用できるようになる。「Amazon Bedrock」は多様な基盤モデルに基づいた生成AIアプリケーションの構築・拡張を可能にするサービスだ。「Claude 3」は自然な日本語をアウトプットできる生成AIモデルとして高く評価されている。これらを利用することにより、ユーザー企業は高度なモデルに基づいて、自社の業務特性にあわせたAI機能の構築が可能になる。ユーザー企業のニーズや特性にあわせた最適なモデルの選定も、Zendeskがサポートするとのことだ。 

 Zendeskは日本市場のポテンシャルを高く評価している。同社が実施したCX(=顧客体験)に関する調査によると、「今後1年間でCXの改善を目的としたAIへの投資を増やす」と回答した国内企業の割合は78%にのぼり、他国の平均を上回ったという。
 また、同社の冨永 健社長は「日本は他国と比較して、電話など音声ベースの顧客対応が占める比率が大きい。テキストベースでの対応へのシフトが進めば、市場が成長する余地は大きい。」と見ている。さらに、冨永社長は「繊細なニュアンスをもつ日本語という言語において、AWSとAnthropicとの連携は特に大きな意味をもつ。」と述べた。

 同社の一連の取り組みにより、国内企業におけるカスタマーサービス業務の変革が加速するか、注目したい。(都築励)

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