矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2024.05.17

【アナリストオピニオン】[シリーズ] 水素エネルギーバリューチェーンを巡る事業者の最新動向【第2回:日本エア・リキード①

昨今、水素社会の実現に向けて再生可能エネルギーを活用した水素の製造から利用に至るまで取組むべく、福島水素エネルギー研究フィールドやYamanashi Hydrogen Energy Society(H2-YES) 、あきた次世代エネルギーコンソーシアムなど、さまざまな実証事業が進められている。そこで今回、3回にわたって製造から供給、利用に至るまでの一連のバリューチェーンにおける事業者の取組み動向について発信したい。第2回目は日本エア・リキードの取組みである。

1.事業戦略

日本エア・リキード社は産業ガス会社として酸素や窒素、アルゴンなどを供給しており、その1つとして水素も扱っている。特に水素は、石油や半導体などの事業者に供給しており、60年以上の歴史を持つ。そうしたなか、近年脱炭素社会実現の一つの手段として、水素をエネルギーとして活用するマーケットが勃興してきており、エネルギーとしての水素にも注力している。
供給先としては、電力やガス会社、製鉄、モビリティなどが考えられる。ただし、既存エネルギーの代替となるため既存燃料との価格差が重要なポイントであり、同社はこの値差が比較的小さいモビリティ分野に注目している。
モビリティ分野で水素を供給するためにはインフラの整備が不可欠であり、2015年から水素ステーション事業を進めている。

水素基本戦略のロードマップに基づき、一般FCV向けに水素の供給をはじめているが、FCVの普及が遅いことから現在は乗用車に加え、水素充填量の多いトラックやバス、タクシーといった商用車をターゲットとして事業拡大を図っている。そうしたなか、商用車は現在ディーゼルを燃料としており、既存燃料との価格差が商用車FCが普及する上での一つの課題である。
ディーゼルは、ガソリンや水素よりも安価であるため、商用車ユーザーとしては、水素を選択しにくい状況にある。こうした状況を打開すべく、現在、商用車における需要創出のために更なる補助金の導入に向けて業界全体として国に要望している。

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/409

山口 泰裕(ヤマグチ ヤスヒロ) 主任研究員
ITを通じてあらゆる業界が連携してきています。こうした中、有望な業界は?競合・協業しうる企業は?参入障壁は?・・・など戦略を策定、実行に移す上でさまざまな課題が出てきます。現場を回り実態を掴み、必要な情報のご提供や戦略策定のご支援をさせて頂きたいと思います。お気軽にお声掛け頂ければと思います。

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