矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2024.03.11

【総合インフラマネジメント事業 始動発表】

 2024年 2 月 16 日の記者発表会にて、JR 西日本・NTT コミュニケーションズ・みずほ銀行・三菱 UFJ 銀行・三井住友銀行・日本政策投資銀行の6社より、「総合インフラマネジメント事業『JCLaaS』(ジェイクラース)」の始動が宣言された。
 日本において、1960 年代から整備された多くのインフラは、社会の発展と人々の豊かな生活を支えてきた。現在、それらのインフラは老朽化が進み、対策が急がれている。しかし、 人口減少による担い手不足や財源不足といった課題が顕在化し、個別・小規模な事業単位で インフラ老朽化を解決することは難しい状況がある。この現状に対し統合的・複合的・広域的に向き合い、将来世代へ再構築したインフラを継承していくための共通基盤プラットフォームが「JCLaaS」である。
 「JCLaaS」では、道路、河川、橋、上下水道といったインフラを単独ではなく複合的に捉えた上で、ソリューションを検討し提供することと想定している。そして、自治体の状況・ 要望にあわせて、DX 推進や資金アレンジも含めた機能を提供することが、今回の異業界6 社参画のポイントである。例えば、NTT コミュニケーションズでは、データ連携基盤の整備や AI・IoT といった先進技術を活用した支援を行いながら、効率的なインフラ事業体系のモデル化を行うというビジョンがある。さらに、プラットフォーマーの6社だけではなく、 地域に根差す事業者との協業・提携や市民参画も進め、官・民・市民がともに未来を創る仕組みを「JCLaaS」では目指していくそうだ。
 大変スケールの大きな事業である。推計の市場規模は日本で 9〜12.9 兆円、世界では 200 兆円とのことで、2030 年までに 100 件超の事業展開を目標としている。しかし、本記者発表がキックオフであり、具体的な案件化と仕組みづくりはまだ先のようだ。まずは、ビジョンに共感する自治体や事業者が集まり、ようやく「JCLaaS」の本格始動が可能になるのだろう。今後の事例成果報告を心待ちにしている。(佐藤祥瑚)

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