矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2024.02.26

【アナリストオピニオン】多発する自然災害とそれに向けた損害保険会社の取組み③

そこで今回は、損害保険会社が行っている取組みを主に2つの段階に分けてみてみたい。「減災に向けた取組み」と「迅速な補償の提供」である。

【図表:自然災害発生において損害保険会社が行っている取組み】

矢野経済研究所作成

損害保険会社の本来の役割は、まず万が一のときに補償を行うことである。自然災害の影響は生活に支障をきたすことから、すぐにでも保険金支払の形でお金が必要となる人も多いだろう。しかし前述したとおり、ひとたび大規模な自然災害は発生すると被害を受ける人は多く、また現地へ赴き被害を確認する作業が困難になる。そこで損害保険会社は少しでも早く補償を行き渡らせるために、ドローンの活用や被害を受けた方がスマホで撮影した写真などから被害状況を把握するなど保険金の支払の迅速化に努めている。

自然災害はいつ何時起こるかわからない。災害は発生しない前提よりも、損害保険会社では万が一自然災害が発生した場合に少しでも被害を抑えるため「減災に向けた取組み」も進んでいる。
例えば、東京海上日動火災保険は応用地質とともに、防災IoTセンサで収集したデータ・気象データ・ハザードデータなどと3D 都市モデル「PLATEAU(プラトー)」を組み合わせた「3D 仮想都市浸水シミュレーション」の開発を手掛ける。さらに3D点群データの解析及びシミュレーション分野で強みを有するTengun-label社も参画し、人工衛星データや防災 IoT データの活用を見据えた、視認性・再現性の高い「3D 仮想都市浸水シミュレーションモデル」を開発したと2022年3月に発表している。同モデルでは、3D 仮想都市の再現に加え、仮想空間上に防災 IoT センサや止水版等を設置することで効率的な被害把握・浸水対策の効果検証を行うことができるとしている。

「自然災害発生」だけを念頭におくと、保険金が迅速に支払われることが顧客にとって必要なことだと考える。しかし「起きるかもしれない自然災害」に向けて少しでも受ける被害が減れば日常に戻る日も早まる。いつ起こるか分からない自然災害に向けて減災の考えはますます必要となるだろう。
今回は損害保険会社の取組を見てきたが、自然災害に向けた防災・減災に向けた取組みについては今後もさらに様々な業界の動向を見ていきたい。(小田沙樹子)

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/403

小田 沙樹子(オダサキコ) 研究員
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