(1)活用傾向
2018年以降、B2B系の事業会社がAI活用を多く手掛けており、例として空港での窓口係員の業務負担低減・効率化に貢献する顔認証ゲート や、問い合わせ窓口におけるチャットボット活用のように、コスト削減や業務効率化に関連した案件が多い傾向にある。
また、省エネ制御や故障予知などでは、従来、人が担ってきた業務をAIがより高いレベルで対応できるようになってきた点において、AIは「プラスアルファ」の位置づけにある。
また今後、民生機器向けでは「こんな機能があったら便利」などのニーズに応える形でAIの適用先が増えていくものとみる。ただし、適用に際してお客様価値とコストとのバランスをみていく必要があると指摘する。
(2)活用事例
育成したAI人材を積極的に活用し、全社のデータ活用による価値創出や底上げに貢献している。具体的には、工場や物流拠点、店舗等における人・モノの動線抽出・分析、レイアウト・工程・スケジュールの最適化により、業務のムダを発見・改善につなげる取組みを行っているほか、デバイス系を手掛ける事業会社では少量多品種を生産しているため、ニーズや社会動向等を踏まえたマーケット変動要因に基づく需要予測、製造状況の変動要因に基づく在庫予測が重要となる。
また、エアコンや業務用空調、冷蔵ショーケースなどを手掛ける事業会社では、省エネ制御や保守・メンテ時期の予測についてAIを活用しリモートで手掛ける取組みもある。このほか、AIを活用した新材料開発(マテリアル・インフォマティクス)やセキュリティゲートにおける顔認証技術の適用、IoTサイバーセキュリティなど幅広い領域で取組んでいる。
パナソニック ホールディングスは、民生機器を取扱っているため、よりセンシティブにAIの品質問題や倫理問題を取扱う必要があると認識。そこで2022年8月に顧客への約束としてAI倫理原則を策定、公表している。最近では生成AIが登場するなか、透明性や説明責任、顧客のプライバシー保護などの重要性が増してきている。
そうしたなか、同社では事業会社ごとの判断スピードを緩めることなく、かつグループ全体で必要なサポートを整備していく、メタ・ガバナンスの体制を採っている。サポートの一例として製品開発の各フェーズで活用することを想定した、AI製品・サービスの特性にあわせて必要十分なチェックリストを自動生成する 「AI倫理チェックシステム」を各事業会社に提供する。また、全社横断のAI倫理委員会では、全社の案件一覧を把握、高いリスクが予想される案件や相談があった際には早急に対応できるような体制を整えている。
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