矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2023.09.06

【サプライチェーン全体のCO2排出量を見える化】

環境関連分野のデジタル化を促進するGreen x Digitalコンソーシアムは8月4日、仮想サプライチェーン上におけるCO2データ連携の実証実験について成果を発表した。
今年1月にフェーズ1で実証した異なるCO2算定ソリューション間での連携成果を踏まえ、今回のフェーズ2ではサプライチェーン全体で正しく共有できるのか、32社が実証実験に参加した。フェーズ2ではPCメーカーのサプライチェーンをイメージし、製品・部品・素材メーカーの3層に分かれて、各社異なるソリューションを用いても正しくデータの算定・共有が行われることを実証した。

CO2排出データの算定や共有方法については昨年から検討を始め、今年6月30日に「CO2可視化フレームワーク」として公表した。
すでに国際的にはGHGプロトコル主催団体であるWBCSDのPACTが「Pathfinder Framework」として体系化しており、同フレームワークと連携しながら日本の制度やデータ環境に合わせた形で構築している。また、日本独自の仕組みとして、各事業者が提供する情報は算定結果のアウトプット情報のみで、直接取引のある企業以外にはどの企業のアウトプットかを秘匿した状態での提供を可能にした。これにより秘密情報の保護を可能にしつつ、データ提供への不安を払しょくさせる。
さらに、直接取引のあるサプライヤーの排出量が可視化されるため、排出量が多い企業には削減対応を依頼することができ、サプライチェーンを遡上したホットスポットの分析もできるようになっている。

CO2排出量の削減は大手企業を中心に取り組みを進めているが、カーボンニュートラルの達成に向けてはサプライチェーン全体での対応が求められる。今回の実証はそれを促進させる成果となりえるが、課題は多い。特にサプライチェーン上流には中小零細企業が多く、そこまでソリューションが普及するには相当な時間がかかる。
今回参加したソリューションベンダーは18社。今後も各社し烈な競争を繰り広げるとともに、新たなプレイヤーの参入も進むだろう。(宮村 優作)

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