2023年6月21~23日に東京ビックサイトで開催された「日本ものづくりWorld」へ伺いました。①
ここでは製造業DX展で展示していた日立産業制御ソリューションズの「香りのデジタル化」技術を紹介します。
同社が開発を進める「香りのデジタル化」は嗅覚センサを使用するのではなく、光音響技術で香りをデジタル化します。具体的には香りの元となる対象に振動を起こさせる特殊な光を近距離で照射し、香り分子が振動して発生する音波を読み取るというものです。この技術で香りの成分や濃度の判別が可能になるとのことで、実際の展示ではコーヒーの産地ごとに香りが異なる様子を表現していました。用途は主に食品製造業での品質管理のほか、工場での異臭検知での利用も見込んでいます。特に非接触で香りを検知できるため、衛生面を気にする食品工場での需要が期待されます。
従来、多くの嗅覚センサでは「感応膜」と呼ばれる薄膜に香り分子が付着することで、香りを判別してきました。感応膜は利用回数を重ねることで劣化し、定期的なメンテナンスが必要になりますが、この光音響技術ではそのメンテナンスは必要ありません。
テクノロジーによる人間の感覚器官の再現のうち、最も開発が遅れていると言われているのが嗅覚の表現です。「香りのデジタル化」を達成するために、今後も様々な技術的アプローチが続いていくでしょう。(宮村 優作)