2023年12月1日より白ナンバー事業者を対象にアルコールチェックの義務化が施行されることとなった。本来なら昨年10月から施行されるはずだったが、半導体不足や物流停滞によりアルコール検知器の確保が難しく、延期されていたものだ。検知器メーカーによると、半導体不足時は受注から納品まで数ヶ月を要していたが、今では注文を受けたらすぐに発送できる状態まで回復しているという。義務化は安全運転管理者の届け出を行っている事業所が対象となり、2021年3月末時点では約34万事業所※に及ぶ。
※出典:内閣府「令和4年版交通安全白書」第3節 安全運転の確保
今回の施行によりアルコール検知器による検査と、検査記録を1年間保存することが義務付けられる。そのため、検知器メーカーは自社開発やベンダー主導で検査結果を記録できるシステムを提供している。特に直行直帰時での検査に対応したモバイルアプリは需要が高く、結果をBluetoothで連携するタイプやOCRで読み取るタイプなど、記録が容易なアプリが展開されている。
しかし、この直行直帰時の記録には課題が残る。アルコールチェックは原則、安全運転管理者との対面での検査が必要だからだ。この点について、昨年のパブリックコメントにより「対面に準ずる方法」として電話やビデオ通話が認められるようになったが、早朝や深夜など安全運転管理者のチェックが難しい時間帯が少なからず存在する。制度上は副安全運転管理者やその業務を補助する人員による対応が認められているが、対応できる管理者がいない状況もゼロではない。このような点呼業務の負担に対しては、パーソルワークスデザインやジェネクストが24時間365日対応可能な代行サービスを提供している。
ドライバーと管理者双方に負担となるアルコールチェックの義務化だが、悲しい事故を起こさないためにも適切な管理が求められる。(宮村優作)