ソフトバンクと東急不動産は2023年6月5日、スマートシティプロジェクト「Smart City Takeshiba」におけるデータを活用した取り組みを共同で発表した。
本プロジェクトの対象となる竹芝エリアは「東京ポートシティ竹芝」や、ホテルや劇場が入る「WATERS takeshiba」など新たな商業施設が開業される注目の再開発エリアである。
「東京ポートシティ竹芝」では最新のセンシングデバイスやエッジデバイスによるデータの収集・解析が行われ、リアルタイムでデータを活用したビルマネジメントや販促支援が可能なスマートビルとなっている。なお、オフィスエリアにはソフトバンクやweworkが入居し、商業エリアでは20店舗以上の飲食店やイベントスペースなどを構える。
今回の発表では両社の知見やノウハウを活かした、街の状況をリアルタイムで把握・発信ができる防災サービスの導入、デジタルツイン上での災害シミュレーションを活用した防災力の強化、サイネージやシェアサイクルによる来訪者の回遊性についての取り組みを紹介している。
これまで災害情報は複数媒体での発信により情報がサイロ化され、街や施設の管理者が状況を正確に把握し効率的な避難誘導を促すことが難しいという課題があった。この課題に対し、リアルタイムで街の状況を把握し情報発信が可能な「統合管理UI」を開発し竹芝エリアでの導入を開始した。また、竹芝地区のデジタルツインを構築し、災害時の一時滞在施設への避難/入館時の受け入れ対応の効率化などを検証した。
回遊性向上においては可動式のサイネージに専用のカメラを設置することで、人流や属性データを取得し、各施設の販促に活用するとともに相互送客を促すとしている。
さらに、シェアサイクル「HELLO CYCLING」を提供するOpenStreet株式会社と連携し、移動手段が不足している竹芝エリア内でのモビリティの向上も進めている。
ソフトバンクは2025年度を最終年度とする中期経営計画の中で法人事業の成長戦略の一つにAutomous Buildiingをあげており、東急不動産も同様にデジタルエリアマネジメントとして、来訪者の属性や行動データ、サービス・ニーズを分析するデータドリブンなまちづくりを進めるとしている。
本プロジェクトは狭域エリアでの取り組みとなるが、オフィスビルや商業施設を中心としたまちづくりモデルの一つとして、先駆的な事例になるだろう。(宮村優作)