株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のドローンソリューション市場を調査し、関連市場規模、需要分野別の動向、将来展望などを明らかにした。
【図表:ドローン活用サービス/ソリューション市場規模推移(2023~2030年度)】
国内では2010年代前半から、ドローン活用サービス/ソリューションが様々な分野で始まっており、農業分野での肥料・農薬散布等のほか、測量、鉄塔/送電線点検などを中心に浸透が進んだ。さらに法規制や運用面での規制緩和を追い風に、2020年前後から実装が加速した。このうち測量や鉄塔点検(通信鉄塔、送電鉄塔)、橋梁点検(高速道路事業者、鉄道大手等)などでは、広く実運用フェーズに入っている。
背景には、規制緩和やドローン本体の低廉化、機能向上などがある。特に近年では、「ドローン×カメラ画像×AI」の座組で様々なソリューションが登場してきており、需要喚起が期待できる。
ドローンは人工衛星/航空機/ヘリコプターと比べ、事業コストの低廉化、近接撮影による画像の高精度化、緊急時対応の迅速性・柔軟性といった点で強みを有している。そのためいくつかの分野・領域では、数年前からドローンシフトが進展している。
また2025年に埼玉県八潮市で、下水道管の老朽化による大規模な道路陥没事故が発生した。この影響で、全国的に下水道管の緊急点検が実施されることとなった上、点検作業をドローンで代替する動きもみられ、業界関係者だけでなく、一般的にもドローン活用に対する注目度が上がった1年となった。
■ドローン×AIのポテンシャル
ドローンは、高解像度情報を取得できることやリアルタイム性、柔軟性などから、AIとの組み合わせに親和性が高い。
例えば、橋梁などのインフラ点検においては、ドローンの機動性と近接撮像力、AIの画像解析力を組み合わせれば、より高度な点検業務(劣化診断/高頻度点検など)を行うことも出来る。さらには、建物周辺の高精度監視など、監視カメラだけでは対応できないケースにおいて、リアルタイム&柔軟に状況識別が可能になってくる。
このように「ドローン×AI」の座組は、ドローン活用サービス/ソリューションを高度化するポテンシャルを持っている。
2030年度を展望すると、先行した農業向け(農薬散布など)は徐々に安定期に入る見込みで、今後急激な伸びは期待できない。一方、電力・鉄道・ITシステム等の事業者で組織するグリッドスカイウェイ有限責任事業組合の取り組む「(技術面・制度面双方から目視外飛行を支援する)ドローン航路プラットフォーム」の構築・提供が実運用フェーズに入れば、ドローン活用が拡大する可能性は高い。こうした取り組みが普及・拡大すれば、ドローンを活用した目視外飛行・自律飛行サービスの可能性が高まることが見込まれる。
外部環境を見ると、様々な現場作業における人手不足/業務効率化志向を背景としたドローン活用ニーズがあり、実需面でのドローン活用は安定推移する見込みである。こうした背景事情を考慮すると、2030年度に向けての展望では、今後も年率20%前後の高伸長を見込み、同年度には事業者売上高ベースで880億円規模になると予想する。
Ⅰ. 鉄塔点検(通信/電力)
Ⅱ. 農林水産・畜産
Ⅲ. 道路(橋梁、トンネル等)
Ⅳ. 防災支援/災害対応
Ⅴ. プラント・再生可能エネルギー
Ⅵ.建築・土木
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調査対象:ドローン活用サービス/ソリューションに関わるベンチャー、ドローンベンダー、農機メーカーなど
調査期間:2025年10月~2026年1月
調査方法: 国内のドローンビジネス関連事業者への面談調査(オンライン調査含む)を中心に、電話調査、文献調査などを併用
※ドローンソリューション市場とは:本調査におけるドローンソリューションとは、ドローンを使ったサービス(農薬/肥料散布、測量、点検・保全支援、監視・巡回、空撮・映像、防犯・セキュリティ、エンタメ・広告など)、ドローンで取得したデータの提供・販売(空撮映像の3D・点群化、被災地データ、病害虫の発生データなど)、ドローンデータを使ったソリューション提供(画像解析データ、〔行政や企業向け〕意思決定支援、各種業務支援、業務最適化支援など)を対象としている。
対象外としているのは、ドローン本体(機体販売、リース/レンタル、交換部品、保守・メンテナンスなど)、ユーザ事業者の内製対応分(電力会社が自前でドローン点検を行う場合等)、さらにドローン物流分野等である。また軍事用ドローン(防衛省/自衛隊向け)についても除外している。
<市場に含まれる商品・サービス>
ドローンを活用した点検/巡視/保全支援 、測量・計測/調査 、監視・モニタリング・プラットフォームサービス 、警備・セキュリティ 、緊急物流、その他
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