株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の補完金融・資金調達支援ソリューション市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
【図表:補完金融・資金調達支援ソリューション市場(3市場計)予測】
中小企業および小規模事業者、個人事業主等のスモールビジネスにおける資金繰り改善や業務効率化ニーズを背景に、2024年度の補完金融・資金調達支援ソリューション市場(3市場計)は、5,436億円と拡大した。
デジタルファクタリング(オンラインで完結するファクタリングサービス)の拡大の要因としては、ファクタリング事業者と金融機関との連携により中小企業へのサービス提供範囲が広がったことに加え、スモールビジネスに特化したデジタルマーケティング施策の活用、SaaSプラットフォームとの連携進展によって、ファクタリングサービスの認知度が向上している。それらの施策により、2024年度のデジタルファクタリング市場は1,000億円を突破している。
請求書カード払いでは、資金繰りを改善したいスモールビジネスのニーズを取り込んでいるほか、商品やサービスを提供するサプライヤー側においても、早期入金を実現するクレジットカード払いに対応するケースが増えている。こうしたことが市場拡大を後押ししており、2024年度の請求書カード払い市場は1,110億円まで拡大している。
B2B掛け払いについては、広告・広告制作業や食品卸売業、ASP・ソフトウェア業など小額かつ大量の請求書を扱う事業者を中心に、オペレーションコスト削減のニーズからサービスの利用が進んでおり、2024年度のB2B掛け払い市場は、3,323億円まで堅調に拡大している。
こうした各サービス領域での利用拡大を背景に、補完金融・資金調達支援ソリューション市場は成長が続いている。
■健全な業界発展に向けた取り組みの進展
デジタルファクタリングの法規制に関する状況をみると、ノンリコース取引(返済原資を特定の資産とその収益に限定するローン)のファクタリングは、貸付には該当しないため、既存の金融法による規制の対象外となっている。
そのため、業界団体「一般社団法人オンライン型ファクタリング協会」を中心に、自主規制ルールの策定を進めており、健全な運営を目指している状況にある。制度面では、2020年民法改正により譲渡禁止特約付債権や将来債権の取扱いが明確化され、デジタルファクタリングの実務運用の柔軟性が増している。加えて、連帯保証縮減の政策動向や取適法(中小受託取引適正化法)の見直しにより、中小企業および小規模事業者、個人事業主等向け与信の枠組み再設計と、金融機関との連携を通じた社会実装拡大が見込まれる。こうした制度整備の結果、各事業者がファクタリングをはじめとする債権を基盤とした資金調達手段を提供しやすくなり、デジタルファクタリングの普及が広がっている。
また、請求書カード払いにおいては、BIPS(Business Invoice Payment Service)事業者への参入拡大に伴い、業界団体の立ち上げが決定し、自主規制に関する一定のガイダンスが設定される見通しとなっている。貸し倒れが発生した場合には、クレジットカード会社(イシュア)が損失を被ることになる事業構造において、サービス全体のエコシステムを整備し、サービス利用企業・BIPS事業者・クレジットカード会社等のステークホルダーいずれにとっても適切な環境を構築していくことが求められている。
補完金融・資金調達支援ソリューション市場は、2024年度から2030年度までのCAGR(年平均成長率)が32.6%となり、2030年度市場規模は2.9兆円規模まで拡大すると予測する。
現状では確定債権型ファクタリング事業者を中心に市場拡大が進んでいるデジタルファクタリング市場は、金融機関などとの接点を通じて新たな顧客を獲得していくことでさらに拡大していく見通しである。次のフェーズとしては、周辺の与信・決済業務まで取り込んだプラットフォームを有する事業者が将来債権型ファクタリングやRBF(Revenue Based Finance)サービスを強化することで、既存加盟店の利用が拡大していくと考えられる。それらの要因により、2030年度のデジタルファクタリング市場は7,089億円まで拡大すると予測する。
資金繰りを改善したいスモールビジネスのニーズで利用が伸びている請求書カード払いでは、加えて資金ニーズがない企業においても、経費管理の容易さやポイント獲得のメリットなどでクレジットカードで支払うケースが増えることが見込まれる。2030年度の請求書カード払い市場は8,680億円まで拡大すると予測する。
B2B掛け払いはオペレーションコスト削減のニーズから利用が進んでおり、市場は堅調な拡大が続く見通しである。2030年度のB2B掛け払い市場は1.3兆円規模まで拡大すると予測する。
Ⅰ.メガバンクのデジタル戦略分析
Ⅱ.デジタルバンク市場の実態と展望
Ⅰ.融資・債権管理ソリューション市場の実態と展望
Ⅱ.AI審査の実態と将来予測
Ⅰ.デジタルファクタリング市場の実態と将来予測
Ⅱ.請求書カード払い(BIPS)市場の実態と将来予測
Ⅲ.B2B掛け払い市場の実態と展望
■メガバンク・デジタルバンク
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調査対象:デジタルファクタリング事業者、請求書カード払い事業者、B2B掛け払い事業者
調査期間:2025年5月~10月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
※補完金融・資金調達支援ソリューション市場とは:本調査における補完金融・資金調達支援ソリューション市場とは、中小企業および小規模事業者、個人事業主等のスモールビジネス向けサービスであるデジタルファクタリング市場、請求書カード払い市場、B2B掛け払い市場の3市場を合算して算出した。いずれのサービスも、資金繰りの改善や貸し倒れ損失を防ぎキャッシュフローの健全化を支援したり、小額かつ大量の請求書を取り扱う事業者の省人化・業務効率化を支援するソリューションである。
デジタルファクタリングとはオンラインで完結するファクタリングサービスを指し、確定債権型や将来債権型のファクタリングがある。市場規模は請求書および将来債権の買取金額(利用額)ベースで算出した。
請求書カード払いは、受け取った請求書をクレジットカードを活用して支払いするサービスである。市場規模はクレジットカードの利用額(サービス提供事業者取扱高)ベースで算出した。
B2B掛け払いとは、請求書の発行から債権回収まで全ての業務(与信審査、請求業務、入金確認・督促、債務保証等)を請け負うサービスを指す。市場規模はB2B掛け払いサービス利用額(サービス提供事業者取扱高)ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
デジタルファクタリング、請求書カード払い、B2B掛け払い
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