株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、CAD/EDA市場を調査し、カテゴリ別や業種別の動向、今後の展望を明らかにした。ここでは、国内のCAD/EDA市場規模推移について、公表する。
【図表:国内CAD/EDA市場規模推移】
2024年度の国内CAD/EDA市場規模は、システムメーカー出荷金額ベースで前年度比105.4%の2,308億3,900万円となった。
CAD/EDAは、製造業の設計開発部門において必要不可欠なシステムであり、特に日本のユーザー企業では従来2D CADが広く用いられてきた。その後現在にいたるまで、2D CADから3D CADへのリプレイスが徐々に行われており、ユーザー企業のものづくりを高度化させるとともに、CAD/EDA市場拡大を下支えしている。
加えて、半導体サプライチェーンの安全保障上の地政学的リスクの回避や、AI技術の進展等を背景として半導体への関心が高まっており、半導体産業の再興に向けた支援制度など国策も進められている。これにより半導体の設計ツールであるEDA市場も伸長しており、CAD/EDA市場規模拡大に貢献している。
■DXの認知の広がりに伴い、他領域連携や全体最適へとユーザー企業の方向性が変化
CAD/EDA市場は成熟した市場であり、特に機械系CADベンダーは長年にわたり機能を強化し、性能をアップデートし続けていることから、機械系CADでは多くのソリューションが一定以上の標準仕様を備えている。そのため、機械系CADベンダーにおいても、機能強化の継続に加え、さらなる価値提供へと取組みの範囲を広げている。
その例としては、CAD単体での価値提供だけではなく、設計の前後工程で利用するソリューションとの連携強化や、ユーザー企業のものづくりプロセス全体の最適化を目指すプラットフォームの展開が挙げられる。
これらの方針は、日本におけるDXの認知の広がりと深化に合わせて、特定領域のみに焦点を当てて効率化する部分最適から、プロセスや組織全体を効率化し付加価値を生み出す全体最適へと取組みを進展しているユーザー企業の方向性に沿っている。
今後も、顧客ニーズへの対応として他領域連携が重要になるとともに、ユーザー企業におけるCADの役割やシステム選定に変化を与えることになると考える。
2025年度の国内CAD/EDA市場規模は、前年度比105.5%の2,435億9,000万円を見込む。
分野別の内訳をみると、2024年度同様にEDA領域の成長がCAD/EDA市場拡大を牽引するとともに、機械系CADやプラント設計用CADにおける3D CAD移行やクラウドシフト、AI機能実装等が進展することで、ソリューションの高付加価値化に伴う単価上昇がCAD/EDA市場伸長を下支えする見込みである。
市場に悪影響を与えうる懸念事項として、米関税政策等に起因する自動車産業を筆頭とした日本製造業の先行き不透明さがあるものの、CAD/EDAベンダーによる先導的な提案や積極的な実運用サポートは継続していることから、今後も国内CAD/EDA市場は拡大を続けると予測する。
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調査対象:CAD/EDAベンダー
調査期間:2025年7月~10月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話やメールによる調査、ならびに文献調査併用
※CAD/EDA市場とは:CAD(Computer Aided Design)とは、設計や製図業務を支援するソフトウェアやシステムである。
本調査におけるCAD/EDA市場は、製造業において主に製品設計のために用いられる機械系CAD、電子機器や半導体の設計作業を支援するEDA(Electronic Design Automation)、工場設計に利用されるプラント設計用CADを対象とし、システムメーカー出荷金額ベースで算出した。なお、市場規模にはハードウェア売上高を含まず、サービス・保守メンテナンス売上高を含む。
また各カテゴリの詳細(下位カテゴリ)は以下の通り。
<市場に含まれる商品・サービス>
機械系CAD、EDA、プラント設計用CAD
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