矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2025.09.17

MEO市場に関する調査を実施(2025年)

2025年度の国内MEO市場は、前年度比18%増。中小企業にもMEOが浸透しつつあり、AIを活用したデータ分析や業務効率化によって市場は高度な進化を遂げている。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のMEO市場を調査し、市場概況、MEOサービス事業者の動向を明らかにした。

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【図表:国内MEO市場規模推移と予測】

【グラフ:国内MEO市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:参入事業者におけるMEO事業売上高ベース
  • 注:2025年度は見込値、2026年度以降は予測値

 

MEO市場の概況

2024年度の国内MEO市場規模は、参入事業者におけるMEO事業売上高ベースで前年度比121.1%の108億円と推計した。2025年度も引き続き好調に推移し、前年度比118.0%の127億円まで拡大する見込みである。 

MEOとは、「Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)」の略で、Googleマップ※1をはじめとする地図検索エンジン上で、企業や店舗の情報が上位に表示されるよう最適化を行うマーケティング施策を指す。同市場が本格的に成長し始めたのは2017年頃で、スマートフォンの普及により地図検索の利用が増加し、特にGoogleマップ※1の利用が多くなったことが背景にある。近年、目的地や店舗を探す際の一般生活者の検索行動は、生活者自身の位置情報を活用する形へと変化してきていることから、Googleビジネスプロフィール(GBP)※2の運用は企業にとって必須となっている。

2020年以降は新型コロナウイルス禍を契機にMEO市場の成長は加速した。特に店舗事業者においては営業時間や営業形態の頻繁な変更など、正確な店舗情報の即時反映が求められるようになった。加えて外出制限が緩和されるたびに、一般生活者の行動は訪問前の情報収集に移行し、現下、Googleマップ※1などを通じた店舗選定が主流となっている。こうした背景を受け、これまでポータルサイトに掲載料を支払っていた飲食業や美容業などの業種では、広告費や掲載料の費用対効果の見直しが進み、Googleマップ※1など無料または低コストで運用可能な集客チャネルへの予算再配分が活発化した。

このような変化により、一般生活者の事前の情報収集から実店舗への誘致といったオンラインからオフライン(O2O)への動線を最適化することがビジネスにおける重要課題となり、地図情報の更新を自動化し、一元的に管理できるMEOツールに対する需要が高まっている。

行政によるDX(デジタルトランスフォーメーション)支援や補助金施策も追い風となり、中小企業にもMEOが浸透しつつある。Google検索におけるAI活用の進展や、生成AIの普及によって、投稿文の自動生成や口コミの返信・分析が可能となり、専門人材を持たない事業者でも対応しやすい環境が整ってきた。

現在では、MEOが単なるローカルSEO※3ではなく、口コミ・SNS・広告を含めたローカルマーケティング全体の最適化手段へと進化している。AIを活用したデータ分析や業務効率化により、MEO市場はより高度な進化を遂げている。

※1. GoogleマップはGoogleの登録商標である。
※2. Googleビジネスプロフィール(GBP)とは、店舗や企業の公式情報をGoogle上で表示・管理するためのツールをさす。GBPはGoogleの登録商標である。
※3. ローカルSEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジンや地図上で「地域名+サービス名」などの検索をしたときに、自社の店舗や事業所を上位に表示させるための対策をさす。

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MEO市場の注目トピック

■MEO市場の顧客セグメントと戦略の特徴
MEO市場においては、どの顧客層を主要なターゲットにするかに応じて事業戦略が大きく異なる傾向にある。現状、国内のMEO市場では、顧客の「規模」(大型チェーン店、小規模チェーン店、個店など)を軸に戦略を立てるMEOサービス提供事業者が多いものと見受けられる。ただし、事業拡大を目的に特定の規模の顧客層に限定せず、幅広い顧客層を対象に多様なプランを展開するMEOサービス提供事業者も少なくない。

①多店舗展開・大手企業向け
数十店舗から数千店舗規模の情報を一括で管理できる「統合管理プラットフォーム」の提供が主流となっている。店舗ごとのオペレーション分担や承認フローなど、大規模な運用体制に対応できる設計が特徴である。
大規模なチェーン企業では、多店舗の情報を一元的に管理し、運用工数を削減することが重要なニーズとなっている。実際、数百店舗におよぶGoogleマップ※1上の情報を一件ずつ申請・管理するのは大きな負担であり、その作業を効率化できるSaaS型のサービスに対する需要は非常に高い。このような企業にとって、Googleマップ※1上の情報はもはやインフラの一部であり、情報の正確な運用は企業ブランドや顧客体験に直結する。したがって、誤情報の掲載や外部からの改ざんを防ぐための管理ニーズも年々高まっており、情報の適切性の管理・運用の観点からもMEOの重要性は増している。
また、業務効率化の観点からは、各種API(Application Programing Interface)との連携やBI(Business Intelligence)ツール※4とのデータ出力機能なども重要視されている。さらに、Googleビジネスプロフィール(GBP)※2だけでなく、各種SNSといった複数のプラットフォームへの対応も必要とされる。
②中小企業・個人店舗向け
多店舗展開・大手企業向けと比較すると、低コストで導入しやすく、わかりやすいUI(ユーザーインターフェース)など、テンプレート型の構成が多く、デジタルツールに不慣れなユーザー企業・事業者でも扱いやすいよう設計されている点が特徴である。また、単一店舗からでも利用できる柔軟な料金体系を提供している。
自社内の人材不足などによりMEO運用を外部に委託したい事業者に対しては、運用代行サービスを提供するケースも多い。
中小規模事業者や個人事業主の場合、情報の正確な運用や一括管理よりは、GBP※2を活用して来店促進や問い合わせといった一般生活者の具体的な行動(コンバージョン)の頻度向上を目指す傾向が強い。

※4. BI(Business Intelligence)ツールとは、企業が持つデータを分析して、経営戦略や業務改善に資する意思決定を支援する仕組み・技術・プロセスの総称である。

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MEO市場の将来展望

今後の国内MEO市場規模は、引き続き拡大していくと予測する。市場成長の要因としては、インバウンド(訪日外国人観光客)の増加に伴い、Googleビジネスプロフィール(GBP)※2を活用した集客施策の重要性が高まっていること、スマートフォン上でのGoogleマップ※1の利用拡大、DXが進んでいない中小企業や個人店舗といった潜在的な顧客層におけるMEO施策の導入拡大が挙げられる。さらに、政府主導によるMEO活用の推進や公的支援の拡充も、市場成長を促進する要因とみる。加えて、口コミレビューへの返信内容の自動生成など、AI技術を活用した付加価値の高いMEOサービスの登場により、同サービスに対する需要はさらに拡大すると考える。

このような要因を背景に、今後の国内MEO市場規模は2025年度から2028年度の年平均成長率(CAGR)15%前後で推移し、2028年度には196億円規模に達するものと予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • MEO市場規模推移(2022~2025年度)
  • MEO市場における事業者別シェア(2024年度)
  • MEO市場規模予測(2025~2028年度)
  • 多店舗展開・大手企業向けサービスの例と戦略の特徴
  • 中小企業・個人店舗向けサービスの例と戦略の特徴
  • 代理店モデルの種類と収益シェアのパターン比較
  • MEO市場のビジネスモデル別セグメントと特徴一覧
  • 事業経緯一覧
  • サービスの特徴・強み/差別化のポイント一覧
  • ビジネスモデルと料金体系一覧
  • 規模別セグメントと戦略
  • 業種別セグメントと戦略
  • 新規導入/リプレイス、地域別、その他
  • 営業方法/集客チャネル一覧
  • 代理店の状況一覧
  • 業績動向一覧
  • 顧客動向とニーズ一覧
  • AIを活用した取り組み一覧
  • 今後の取組み/注力分野一覧
  • 課題一覧
  • MEO市場の見通し一覧
  • 主要MEOサービス事業者一覧(74社)
  • 中小企業・小規模企業におけるHP制作運用サービスの市場規模(2023年度)
  • インターネット広告総市場規模推移
  • インタネット広告業界のビジネスマップ
  • インターネット広告市場規模予測
  • Embedsocial Japan株式会社(EmbedSocial for MEO)
  • GMO TECH株式会社(MEO Dash! byGMO)
  • 株式会社CS-C(C-mo、C-mo Pro)
  • ディップ株式会社(集客コボット for MEO)
  • 株式会社ナビタイムジャパン(NAVITIME Location Cloud)
  • 株式会社Faber Company(ローカルミエルカ)
  • 株式会社フリースクエア(マップ職人)
  • 株式会社mov(口コミコム)
  • 株式会社カンリー(Canly)
  • 株式会社トライハッチ(MEO HATCHv
  • オルグロー株式会社(MEO Analyticsv

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調査要綱

調査対象:MEOサービス提供事業者
調査期間:2025年4月~6月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

※MEO市場とは:MEOとは「Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)」の略で、Googleマップ(Googleの登録商標)をはじめとする地図検索エンジン上で、企業や店舗の情報が上位に表示されるよう最適化を行うマーケティング施策を指す。
特にGoogleビジネスプロフィール(GBP)※※の運用支援を中心に、店舗情報の整備、写真や投稿の更新、口コミ管理、キーワード対策などを通じて、ローカル検索結果での視認性向上と集客効果を高めることを目的とする。
本調査におけるMEO市場規模は、国内においてMEOサービスを提供する各事業者の全体売上のうちMEO事業に限定した売上高ベースで算出した。なお、OEM提供によって売上を計上している事業者についても対象に含めている。

※※Googleビジネスプロフィール(GBP)とは、店舗や企業の公式情報をGoogle上で表示・管理するためのツールである。GBPはGoogleの登録商標である。

<市場に含まれる商品・サービス>
各種のMEO対策サービス

金貞民(キムジョンミン) 上級研究員
業界の皆様の新たなアイディアを整理し、方向性を提示することもリサーチャーの役割と思います。 常に市場変化を敏感に観察しながら、業界の皆様に価値のあるデータが提供できるよう精進して参ります。

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