株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のMEO市場を調査し、市場概況、MEOサービス事業者の動向を明らかにした。
【図表:国内MEO市場規模推移と予測】
2024年度の国内MEO市場規模は、参入事業者におけるMEO事業売上高ベースで前年度比121.1%の108億円と推計した。2025年度も引き続き好調に推移し、前年度比118.0%の127億円まで拡大する見込みである。
MEOとは、「Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)」の略で、Googleマップ※1をはじめとする地図検索エンジン上で、企業や店舗の情報が上位に表示されるよう最適化を行うマーケティング施策を指す。同市場が本格的に成長し始めたのは2017年頃で、スマートフォンの普及により地図検索の利用が増加し、特にGoogleマップ※1の利用が多くなったことが背景にある。近年、目的地や店舗を探す際の一般生活者の検索行動は、生活者自身の位置情報を活用する形へと変化してきていることから、Googleビジネスプロフィール(GBP)※2の運用は企業にとって必須となっている。
2020年以降は新型コロナウイルス禍を契機にMEO市場の成長は加速した。特に店舗事業者においては営業時間や営業形態の頻繁な変更など、正確な店舗情報の即時反映が求められるようになった。加えて外出制限が緩和されるたびに、一般生活者の行動は訪問前の情報収集に移行し、現下、Googleマップ※1などを通じた店舗選定が主流となっている。こうした背景を受け、これまでポータルサイトに掲載料を支払っていた飲食業や美容業などの業種では、広告費や掲載料の費用対効果の見直しが進み、Googleマップ※1など無料または低コストで運用可能な集客チャネルへの予算再配分が活発化した。
このような変化により、一般生活者の事前の情報収集から実店舗への誘致といったオンラインからオフライン(O2O)への動線を最適化することがビジネスにおける重要課題となり、地図情報の更新を自動化し、一元的に管理できるMEOツールに対する需要が高まっている。
行政によるDX(デジタルトランスフォーメーション)支援や補助金施策も追い風となり、中小企業にもMEOが浸透しつつある。Google検索におけるAI活用の進展や、生成AIの普及によって、投稿文の自動生成や口コミの返信・分析が可能となり、専門人材を持たない事業者でも対応しやすい環境が整ってきた。
現在では、MEOが単なるローカルSEO※3ではなく、口コミ・SNS・広告を含めたローカルマーケティング全体の最適化手段へと進化している。AIを活用したデータ分析や業務効率化により、MEO市場はより高度な進化を遂げている。
※1. GoogleマップはGoogleの登録商標である。
※2. Googleビジネスプロフィール(GBP)とは、店舗や企業の公式情報をGoogle上で表示・管理するためのツールをさす。GBPはGoogleの登録商標である。
※3. ローカルSEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジンや地図上で「地域名+サービス名」などの検索をしたときに、自社の店舗や事業所を上位に表示させるための対策をさす。
■MEO市場の顧客セグメントと戦略の特徴
MEO市場においては、どの顧客層を主要なターゲットにするかに応じて事業戦略が大きく異なる傾向にある。現状、国内のMEO市場では、顧客の「規模」(大型チェーン店、小規模チェーン店、個店など)を軸に戦略を立てるMEOサービス提供事業者が多いものと見受けられる。ただし、事業拡大を目的に特定の規模の顧客層に限定せず、幅広い顧客層を対象に多様なプランを展開するMEOサービス提供事業者も少なくない。
※4. BI(Business Intelligence)ツールとは、企業が持つデータを分析して、経営戦略や業務改善に資する意思決定を支援する仕組み・技術・プロセスの総称である。
今後の国内MEO市場規模は、引き続き拡大していくと予測する。市場成長の要因としては、インバウンド(訪日外国人観光客)の増加に伴い、Googleビジネスプロフィール(GBP)※2を活用した集客施策の重要性が高まっていること、スマートフォン上でのGoogleマップ
このような要因を背景に、今後の国内MEO市場規模は2025年度から2028年度の年平均成長率(CAGR)15%前後で推移し、2028年度には196億円規模に達するものと予測する。
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調査対象:MEOサービス提供事業者
調査期間:2025年4月~6月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
※MEO市場とは:MEOとは「Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)」の略で、Googleマップ(Googleの登録商標)をはじめとする地図検索エンジン上で、企業や店舗の情報が上位に表示されるよう最適化を行うマーケティング施策を指す。
特にGoogleビジネスプロフィール(GBP)※※の運用支援を中心に、店舗情報の整備、写真や投稿の更新、口コミ管理、キーワード対策などを通じて、ローカル検索結果での視認性向上と集客効果を高めることを目的とする。
本調査におけるMEO市場規模は、国内においてMEOサービスを提供する各事業者の全体売上のうちMEO事業に限定した売上高ベースで算出した。なお、OEM提供によって売上を計上している事業者についても対象に含めている。
※※Googleビジネスプロフィール(GBP)とは、店舗や企業の公式情報をGoogle上で表示・管理するためのツールである。GBPはGoogleの登録商標である。
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