矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2025.03.14

国内衛星通信サービス市場に関する調査を実施(2024年)

2024年の国内衛星通信サービス市場規模は634億9,000万円を見込む。市場は拡大基調で推移し、2030年には1,333億3,000万円を予測する。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、日本を含む世界の衛星通信サービス市場の調査を実施した。ここでは、国内衛星通信サービス市場規模について公表する。

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【図表:国内衛星通信サービス市場規模推移】

【図表:国内衛星通信サービス市場規模推移】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:通信サービス提供額ベース
  • 注:2024年見込値、2025年以降予測値

 

国内衛星通信サービス市場の概況

2023年の国内衛星通信サービス市場規模は576億7,000万円であった。国内衛星通信サービスはこれまで、主に法人・自治体向けを対象とした衛星電話サービスであり、専用回線での運用が主体だった。2010年代に高速通信が可能な通信衛星の導入によって、航空機(乗客用Wi-Fi接続サービス)と船舶向けサービスの普及が進んだ。

2024年の国内衛星通信サービス市場規模は634億9,000万円を見込む。 今後、国内において低軌道コンステレーション(LEO)による衛星通信サービスが計画されていることから、市場は拡大基調で推移し、2030年の国内衛星通信サービス市場規模は1,333億3,000万円を予測する。

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国内衛星通信サービス市場の注目トピック

■直接衛星通信
直接衛星通信はスマートフォンと衛星を直接通信させることにより、山岳部や海上などで緊急時や遭難時におけるSOS、緊急通報サービス「E-call」の利用が可能になるサービスである。将来的には緊急時や遭難時だけでなく、音声通話やインターネット利用が可能になる見通しであることから、携帯電話サービスのエリア拡大が期待されている。今後、国内大手通信事業者による直接衛星通信サービスの商用化が計画されている。

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国内衛星通信サービス市場の将来展望

衛星電話は政府・自治体の防災・災害対策や運輸・建築・建設事業者等での需要は根強いが、今後スマートフォンによる直接衛星通信サービスが実現すると企業向けの一部は直接衛星接続に移行する可能性があるとみる。

衛星通信は大手通信事業者による商用サービス、HAPSの運用開始が見込まれ、衛星通信インフラ拡充が急速に進む。一方でXR(VR/AR/MR)、AIなどの新規需要による更なるトラフィック(通信容量)増加が想定される。

5G-Advanced規格が制定され商用化の道筋が見えてきた現在、焦点は次世代規格(Beyond5G・6G)へ移行する。次世代規格では衛星通信の活用は必須である。低軌道コンステレーション(LEO)活用や直接衛星通信、加えてHAPSの導入を含めた非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network;移動体通信に加え、海上、空、衛星を結んで体系的に構築した通信サービス網)などの構築において日本は現在、世界をリードするといわれている。こうした先進的な通信技術やネットワークを活用することで、日本において多くのビジネスチャンスの創出が期待される。

※HAPS(High Altitude Platform Station)は非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)のうち、無人航空機などを利用し、高度20キロメートル程度の上空に無線局を設置し広域無線通信サービスを提供するシステムである。サービスの提供範囲は半径数十キロメートルから百数十キロメートル程度となり、電波強度を十分確保できるため簡便な受信装置でサービスを提供することができるという利点がある。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 宇宙ビジネス全体像
  • 2023年 日本の宇宙産業市場規模
  • 2023年 世界の宇宙産業市場規模
  • 日本の主な宇宙関連団体・企業
  • 主要国の人工衛星打ち上げ数推移
  • 主要国の大型ロケット打上げ回数推移
  • 衛星通信機器 本調査に於ける調査範囲
  • 衛星通信サービス 本調査に於ける調査範囲
  • NTN・衛星通信サービス 衛星カテゴリと展開エリア
  • 人工衛星仕様比較
  • NTN(Non-Terrestrial Network:非地上系ネットワーク)
  • 国内衛星通信サービス市場構造
  • 国内衛星通信サービス(衛星電話+衛星通信)市場規模
  • 国内衛星通信機器(衛星電話+衛星通信)市場規模
  • 国内衛星電話市場規模
  • 国内衛星電話契約数実績/予測
  • 国内衛星通信市場規模
  • スカパーJSAT 衛星通信ビジネス環境
  • スカパーJSAT カテゴリ別市場規模(売上高)実績/予測
  • 宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想
  • NTTグループ 衛星通信ビジネス環境
  • NTTグループカテゴリ別市場規模(売上高)実績/予測
  • KDDI 衛星通信ビジネス環境
  • KDDIカテゴリ別市場規模(売上高)実績/予測
  • ソフトバンク 衛星通信ビジネス環境
  • ソフトバンク カテゴリ別市場規模(売上高)実績/予測
  • その他事業者 カテゴリ別市場規模(売上高)実績/予測
  • スカパーJSAT ロードマップ
  • SES静止衛星/O3bMEO 衛星連携
  • 衛星測位システム 仕様比較
  • SpaceX「Falcon9」ロケット
  • EutelsatOneWebの概念図
  • Amazon「Project Kuiper」受信端末
  • Amazon 専用ベースバンドチップ「Prometheus」
  • ASTMobile テクニカルパートナー企業
  • ASTMobile パートナー企業 通信事業者
  • Apple 衛星通信を使用した緊急SOSシステム
  • Apple/GlobalStar 緊急SOSシステム構成
  • HAPS利用シーン
  • HAPSの活用範囲
  • SPACE COMPUS HAPS ロードマップ
  • SoftBank(HAPSMOBILE)「HAWK30」
  • HAPS alliance
  • HAPS alliance 活動内容
  • Airbus Zephyrシリーズ
  • 国内通信事業者 HAPS関連設備投資予測
  • 国内通信事業者 HAPSサービス市場予測
  • 国内市場 HAPSアプリケーション別市場予測
  • 「衛星直接通信」(5GNTN 構築)実証実験システム概要
  • NOKIA、ASTMobileによる衛生直接通信実験
  • 「衛星直接通信サービス」を計画する世界の主な通信事業者(2023年末時点)
  • QUALCOMM Snapdragon Satellite
  • 通信衛星対応モデム「212S」「9205S」
  • MediaTek MT6825
  • 大手航空機メーカー2社の新型機納入機数実績
  • 世界の大手航空会社 保有機材数
  • 旅客航空サービスに於ける衛星通信サービス市場構造
  • JAL 保有機材
  • ANA保有機材
  • 国内航空会社 国内線向け 衛星通信サービス利用料実績/予測
  • 国内航空会社 国際線 衛星通信サービス(機内Wi-Fi)接続料市場規模実績/予測
  • 国内航空会社向け衛星通信/機内向けエンタテインエントシステム市場規模
  • 国内船舶向け衛星通信サービス市場構造
  • 国内船舶向け衛星通信機器(低軌道衛星コンステレーション)市場規模
  • JR東日本 通信ネットワーク
  • 新幹線向け無料Wi-Fiシステムの概要
  • JR東日本 ローカル線向けの列車制御システム
  • 中国鉄路高速(CRH)路線図(未開業区間含む)
  • SNCF TGV向け衛星通信システム
  • Brightline 通信システム概要
  • 主要スマートフォンメーカー市場参入状況
  • Apple 緊急通報SOSサービス 位置検出ロジック
  • Apple 衛星通信・緊急通報サービス対応状況
  • Google 衛星通信・緊急通報サービス対応状況
  • SAMSUNG 衛星通信・緊急通報サービス対応状況
  • Huawei 衛星通信・緊急通報サービス対応状況
  • 2025年度末までの周波数の帯域確保目標に対する進捗状況
  • 日本に於ける周波数分配状況
  • SpaceX「Starlink」で使用される10GHz帯周波数数
  • 地球・月面間衛星通信の概要
  • 3GPP Release18 概要
  • 3GPP Releace17 概要
  • 3GPP Release19 検討項目
  • JAXA 地球観測衛星のロードマップ
  • 光電融合技術関連開発案件
  • SoftBank HAPS開発に於ける光通信の技術的課題
  • 世界初、フォトニック結晶レーザーでLEO-GEO間光通信実証実験
  • 宇宙統合コンピューティングネットワーク
  • 宇宙RAN概要
  • 衛星通信サービスの市場構造
  • 通信事業者別 衛星通信サービス構築状況(2024年夏時点)
  • 総務省 衛星直接通信検討概要
  • 楽天モバイル 衛星直接通信概要
  • KDDI 衛星直接通信サービス概要
  • SpaceX 衛星直接通信向け通信衛星
  • コグニティブ・ファウンデーション
  • デジタルツインコンピューティング
  • HAPS開発に於ける要素
  • HAPS開発に於ける国際制度・認証対応
  • 国内衛星通信サービス市場規模
  • 国内衛星通信・衛星直接サービス収益予測
  • 直接衛星通信の可能性
  • NICTが開発中の平面アンテナ
  • 中国のLEO(低軌道衛星コンステレーション)計画

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    • 世界の衛星通信サービスの動向
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調査要綱

調査対象:通信事業者、通信設備事業者、通信機器メーカー、衛星開発企業、衛星運用企業、業界団体等
調査期間:2024年4月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、セミナー取材ならびに文献調査併用

※衛星通信サービス市場とは:本調査における衛星通信サービスとは、①通信事業者によって提供される衛星電話及びGEO(静止衛星)/MEO(中軌道衛星)、LEO(低軌道衛星コンステレーション)、HAPSによる衛星データ通信サービス、②サービス事業者(公共交通事業者:航空機、旅客船等)による機内、船内WiFiサービス、③スマートフォンによる直接衛星通信サービスを対象とする。なお、BS/CS放送、J-ALERTなどの放送型ネットワークサービスは対象外とする。

<市場に含まれる商品・サービス>
衛星電話、衛星通信、航空機・旅客船Wi-Fiサービス

賀川 勝(カガワ スグル) 上級研究員
新興国が先進国に取って替わり世界経済を牽引している現在、市場が成熟化するスピードも早くなっています。そのような状況下でお客様にとって本当に価値ある情報を最適なタイミングでご提供出来る様、常に心掛けております。

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