株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の口座振替市場を調査し、主に収納代行事業者の戦略、課題、今後の方向性等を明らかにした
【図表:口座振替市場規模推移と予測】
2023年度の口座振替市場規模は収納代行事業者取扱高ベースで、39兆600億円と拡大基調にある。
口座振替は、概して公共料金、通信費、保険料、ローン返済、クレジットカードの引き落としなどの領域での利用が多く、主に大手請求事業者が金融機関と直接契約している。本調査の対象である収納代行事業者サービスは、収納代行事業者を通して、月謝でサービスを提供する学習塾や習い事教室などの教育・カルチャー領域の事業者やサブスクリプションサービス提供事業者などを中心に、幅広い分野で導入されている。
クレジットカードと比較すると、口座振替はエンドユーザーの利便性が若干下回るものの、取引金額によっては手数料が安価になることから、コストメリットが大きく、認知度の高いサービスであるため、一定のニーズを獲得しながら拡大を続けている。
■ペーパーレス化の進展
口座振替は、従来紙の払込票での申し込みが主流であったが、エンドユーザーだけでなく、導入事業者にも利便性が高いWeb口座振替受付サービスの普及拡大への取り組みが進んでいる。導入に要するコスト負担が大きいことなどから、大企業を中心とした導入が中心となっているが、収納代行事業者は中小企業においても導入しやすいサービスとなるようなインフラ構築などを進めることで、導入事業者の裾野を広げる取り組みを進めるなど、ペーパーレス化が徐々に進展している。
2027年度の口座振替市場規模は収納代行事業者取扱高ベースで、46兆2,000億円まで拡大すると予測する。資金回収ニーズの底堅さを受け、市場は拡大基調で推移するとみる。
その要因として、コストメリットを重視する中小事業者においては、様々なキャッシュレス決済の中でも金額帯によっては手数料の安価な口座振替を選択するケースが多く、今後も安定的な成長が見込める。また、Web 口座振替受付サービスなど、紙の払込票のペーパーレス化への移行も考えられることから、DX (デジタルトランスフォーメーション)の流れと相まって成長するものとみる。今後も様々な用途で口座振替が利用されるとみられることから、口座振替市場は堅調に拡大するものと考える。
■収納代行・決済代行市場を取り巻く環境
■口座振替市場の動向と展望
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調査対象:収納代行サービス提供事業者等
調査期間:2024年2月~8月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査ならびに文献調査併用
※口座振替市場とは:口座振替市場とは、エンドユーザーが指定した金融機関の口座から、商品やサービスの利用料金を自動で引き落とす決済手段を指し、主に月額費用を継続課金で支払いをする際に利用されるサービスである。本調査では、収納代行事業者を介して取引をされた取扱高ベースで市場規模を算出している。なお、市場規模の算出には金融機関と請求事業者の直接契約の取引を含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
口座振替、コンビニ収納サービス
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