矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2024.07.22

ロボアドバイザー市場に関する調査を実施(2024年)

ロボアドバイザー市場規模は、預かり資産残高ベースで2030年度には12兆円を突破。新NISAを追い風に市場は急拡大すると予測する。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のロボアドバイザー市場の調査を実施し、ロボアドバイザーの動向や将来展望を明らかにした。

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【図表:ロボアドバイザー市場規模推移と予測】

【図表:ロボアドバイザー市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:預かり資産残高ベース
  • 注:2024年度見込値、2025年度予測値

 

ロボアドバイザー市場の概況

近年、個人のリスク許容度や投資目的に合わせたポートフォリオ(金融商品の組成)を自動的に構築、運用するロボアドバイザーの利用者が拡大している。その背景には、金融商品の多様化が進んでいることなどから、情報を網羅的に把握し、適切な投資判断を下すことが困難と感じている働く世代において、資産構築支援に対するニーズが高まったこと等があげられる。海外においてはAIを活用したロボアドバイザーが中心となっているが、日本においてはAIを活用していないロボアドバイザーが主流ではあるものの、昨今ではAIを活用したロボアドバイザーが台頭しつつある。

日本のロボアドバイザーサービス提供事業者は、働く世代の資産構築支援を主軸にサービスを提供しており、インターネットを介して、より簡単にストレスなく、資産構築の出来る環境の提供を目指している。自動でポートフォリオの調整がなされ、長期的にリスクコントロールが出来る点などが評価され、新NISA(少額投資非課税制度)の開始や良好な投資環境を背景に、市場は確実に伸長している。

2023年度のロボアドバイザー市場規模は預かり資産残高ベースで、1兆8,460億円となった。2024年度には3兆円を超える水準まで拡大すると見込む。

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ロボアドバイザー市場の注目トピック

■AI活用の進展
国内ではAIを活用していないロボアドバイザーが主流であるが、昨今ではAIを駆使したロボアドバイザーが台頭しており、グローバル資産を活用した分散投資とAIによる相場先読みを掛け合わせることで、運用効率の向上を追求している。仮にマーケット(相場)が悪化するという見通しの場合、マーケットへの警戒感を大幅に高めたポートフォリオを組むなど、運用リスクをコントロールする目的で大幅な組み換えが行われる点が運用効率の向上に繋がっている。

また、従来の投資一任契約の取引では、ポートフォリオの組み換えが積極的に行われるため、売買時にNISA口座の取引可能残高を消費してしまうことになることから、NISAの取引には不向きであると考えられていた。

近年では、NISAとの親和性を高めるため、売却を伴うリバランス(通常はポートフォリオに偏りが出た場合、割合が大きくなった部分(ex米国株など)を売却して、割合が小さくなった部分(ex米国債券)を購入することでリバランス(組み換え)を実施する)ではなく、毎月の積立時に各資産への積立額を適宜変更することで、ポートフォリオを維持する取り組みを進めている。こうしたNISA口座との親和性を高めたり、ロボアドバイザーで培ったノウハウに基づいて投資信託の開発への助言を行うなどにより、NISA口座への対応が進み、利用者の拡大に繋がっている。

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ロボアドバイザー市場の将来展望

ロボアドバイザー市場規模は堅調に拡大を続け、2030年度には預かり資産残高ベースで、12兆円を突破すると予測する。

この背景として、従来の証券会社が取り込むことの出来なかった投資経験の少ない働く世代のニーズを取り込むことに加え、AIを活用したロボアドバイザーの普及拡大により、投資経験者層のニーズを取り込めることから今後も市場は拡大していくとみる。

今後は、ユーザーの環境の変化等を織り込んで、資産形成サービス全体の向上を図ることも重要となる。そのためにも、証券や投資信託への投資だけではなく、ウェルスマネジメント(現金をはじめ、金融商品や不動産なども含めた資産全体を管理する資産管理サービス)と連動したサービス提供も必要となると考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 資産所得倍増プランの概要
  • 株式委託売買代金(業界全体)
  • インターネットの株式売買代金(業界全体)
  • インターネットの株式売買代金(主要6社)
  • 証券口座数(業界全体)
  • インターネット証券口座数(業界全体)
  • インターネット証券口座数(主要7社:全体)
  • インターネット証券口座数(主要7社:稼働口座数)
  • ネット証券の預かり資産残高(主要5社:2019~2023年度)
  • 主要ネット証券会社の預かり資産残高予測(2023~2026年度)
  • 営業収益推移
  • 委託手数料推移
  • .引受・募集・売出手数料推移
  • その他受入れ手数料推移
  • トレーディング収益推移
  • 金融収益推移
  • 投資信託報酬推移
  • 営業利益推移
  • 経常利益推移
  • 当期純利益
  • 口座数推移
  • 期中口座純増数推移
  • NISA口座数推移
  • YouTubeチャンネル登録者数
  • 個人株式委託売買代金推移
  • 預かり資産残高推移
  • 信用取引建玉残高推移
  • 投資信託残高推移
  • IPO引受社数実績
  • 証券会社数及びインターネット取扱い証券会社数の推移
  • 各社の概要・特徴
  • 証券会社の収益構造の変化
  • 業績動向一覧
  • 現物株式の手数料体系
  • 主要事業者の事業戦略
  • 新規口座獲得策
  • 募集チャネルと募集方法
  • 既存顧客の囲い込み・稼働率向上策
  • 顧客とのコミュニケーション施策
  • 主な提携先
  • ポイントの活用施策
  • ChatGPTなどの活用状況
  • AIを活用した商品開発
  • ウェルスマネジメントに関する取組み
  • 新NISA制度に対する考え方
  • 主要事業者の課題
  • ロボアドバイザーのサービス形式
  • ロボアドバイザーのサービス比較
  • 市場規模推移(営業収益ベース:2020~2024年度)
  • 市場規模推移(預かり資産残高ベース:2020~2024年度)
  • 主要事業者の営業収益推移
  • 主要事業者の営業利益推移
  • 主要事業者の経常利益推移
  • 主要事業者の当期純利益推移
  • 主要ロボアドバイザーの預かり資産拡大に向けた取組み
  • 主要ロボアドバイザーの新規口座獲得に向けた取組み
  • 主要ロボアドバイザーの他社連携に関する取組み
  • 主要ロボアドバイザーのNISAに関する取組み
  • 主要ロボアドバイザーの課題
  • 主要ロボアドバイザー事業者の今後の方向性
  • 市場予測(営業収益ベース:2023~2030年度予測)
  • 市場予測(預かり資産残高ベース:2023~2030年度予測)
  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券
  • 松井証券
  • auカブコム証券
  • ロボアドバイザーサービス提供事業者
    • ウェルスナビ
    • お金のデザイン
    • FOLIO

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調査要綱

調査対象:ネット証券会社、ロボアドバイザーサービス提供事業者
調査期間:2024年1月~5月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)および文献調査併用

※ロボアドバイザー市場とは:本調査におけるロボアドバイザー市場とは、投資家が資産運用の際に商品の選定や売買のタイミングなどを完全にお任せできる投資一任契約であり、投資家に合ったポートフォリオ(金融商品の組成)を設定し、積立、長期運用で資産構築を支援するサービスである。利用者の中心は投資経験が浅い30代や40代の働く世代となっており、手数料が比較的低く、小額からインターネットで気軽に出来る点が従来の投資一任契約とは異なっている。なお、ロボアドバイザー市場規模は預かり資産残高ベースで算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
ロボアドバイザーサービス

高野 淳司(タカノ ジュンジ) 主任研究員
数多くの取材を通して得ることの出来た「生の情報」を元に、お客様が抱えている問題にしっかり耳を傾け、もっとも効果的な解決方法を発見できる調査を提案することをモットーとしています。

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