矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2023.12.05

国内生成AIの利用実態に関する法人アンケート調査を実施(2023年)

生成AIを活用している企業は約1割。現在はコスト削減を目的とした利用が進められているものの、今後は様々なサービスの中核技術となって組み込まれていくとみる。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内生成AIの利用実態に関する法人アンケート調査を実施し、今後の事業展開と展望について分析、考察した。ここでは現行の生成AI活用状況について取り上げる。

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【図表:企業の生成AI活用状況(単数回答)】

【図表:企業の生成AI活用状況(単数回答)】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:調査時期:2023年6月~8月、調査(集計)対象:国内民間企業(プロセス製造業、加工組立製造業、サービス業、流通業、金融業)538社、調査方法:郵送アンケート調査、単数回答

 

国内生成AIの利用実態の概況

2022年に相次いでリリースされた生成AIのサービスは日本国内でも大きな話題となり、企業でも導入されるようになった。本調査では2023年6月~8月に国内民間企業(プロセス製造業、加工組立製造業、サービス業、流通業、金融業)538社を対象に生成AIの利用実態に関する法人アンケート調査を実施した。生成AIの活用について「全社的に活用している」が1.3%、「一部の部署で活用している」が8.6%という結果であった。さらに「現在は活用していないが、将来的に活用したいと考えている」の回答率は20.8%であり、活用に意欲的な企業は一定数いることから、今後も活用する企業は順次増加していくことが示唆される。

一方で、3.2%の企業は「活用を禁止している」と回答している。登場して間もない技術であり、活用方法が曖昧なだけでなく、情報漏洩といったセキュリティについても十分な理解は浸透していない。こうした部分に懸念を抱く企業が一定程度存在するものと考える。一般的に活用が進むことで理解が進んだり、社内活用におけるガイドライン等の整備が行われていけば、こうした企業も活用を検討していく可能性はあるとみる。

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国内生成AIの利用実態の注目トピック

■ベンダーは活用事例の創出に注力
現下、ベンダー各社ともユーザー企業から生成AIについて、試験的に利用したい意向はあるものの、その活用方法について不案内であるといった内容の問い合わせを多く受けている。先端技術の理解を深めるという点ではまず利用してみるというのは価値がある。しかし、企業が活用する以上、利益に結び付けなければ継続して利用する価値は失われる。懸念されるのは、事業領域への活用方法が分からないといった理由で、導入したユーザー企業が生成AIの利用をやめていくということである。

一方で、具体的な活用方法をイメージしているユーザー企業も存在する。ベンダー各社がこれらのユーザー企業と協力して生成AIの活用事例を事業化できれば、ビジネス活用できず利用をやめたユーザー企業に対して、再び生成AIを導入する機会を提供することができる。かつてクラウドが登場した際に日本では普及が進まず、そのまま海外の企業に大きな後れを取ることになった。生成AIではこのような事態にならないように早急に活用事例の創出が求められることから、ベンダー各社は具体的な活用イメージを持つユーザー企業と積極的に実証実験を行っている。

実際の活用について、生成AIは業務効率化といったコスト削減を目的とした利用が進められているものの、生成AIは様々な技術やサービスと組み合わせることが可能である。この技術力の高さを考慮すれば、コスト削減だけではなく、新しいイノベーション(革新的な活用方法や事例等)の創出といった利益創出にも活用されるべきである。しかし、利益創出の活用方法はコスト削減を目的とした導入よりも活用範囲が広く、具体化することが難しい。そのため、まずはコスト削減を目的とした活用でノウハウを蓄積していき、利益創出に移行していく流れになると考える。

今後、生成AIは様々なサービスの中核技術となって組み込まれていくようになっていくとみる。生成AIがサービス価値を高める存在として扱われることになれば、生成AIのモデルそのもので対価を得るというのは難しくなる。こうしたなか、生成AIを有することで実現できる価値に対して対価を得る仕組みにしていく必要がある。生成AIを利用するユーザー企業(顧客)、あるいは社会全体への影響を踏まえ、適切な価値体系を構築する必要があるものと考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • AIにおける生成AIの立ち位置
  • 生成AIの主な種類
  • AIの歴史
  • 代表的なLLM一覧
  • 主な生成AI市場の出来事(2022年4月~2023年4月)
  • 各国の生成AI動向
  • 総務省が求める2024年度予算の概算要求のうち生成AIに関する項目
  • 文部科学省が求める2024年度予算の概算要求のうち生成AIに関する項目
  • 広島AIプロセス進め方
  • 生成AIを活用したビジネスモデル
  • Ridgelinez 生成系AIコンサルティングサービス
  • AI inside 生成AI・LLMの伴走型リスキリングプログラム
  • 国産LLMの主な開発企業
  • ソフトバンク「Azure OpenAI Service スターターパッケージ」概要
  • 主要ベンダー事業概況
  • ユーザー特徴
  • ユーザーの生成AI活用予測
  • ITベンダーのクラウド基盤 利用状況推移(2010-2022年)
  • 具体的な活用のもと生成AIを導入する割合
  • 企業の生成AI活用状況
  • 生成AIの活用状況(従業員規模別)
  • 利用中の生成AIサービス
  • 自社のIT戦略や経営に大きな影響を与えそうなテーマ選択肢一覧
  • IT戦略や経営に大きな影響を与えそうなテーマ
  • IT戦略や経営に大きな影響を与えそうなテーマ(売上規模別)
  • 生成AI活用によるビジネスへの影響
  • 生成AIの活用用途
  • 生成AIに対する懸念
  • 生成AIの将来的な活用目的

■プロフィール

  • 業種
    • 売上高規模別 業種
    • 従業員数規模別 業種
  • 売上高規模
    • 業種別 売上高規模
    • 従業員数規模別 売上高規模
  • 従業員数規模
    • 業種別 従業員数規模
    • 売上高規模別 従業員数規模
  • IT関連要員数規模
    • 業種別 IT関連要員数規模
    • 売上高規模別 IT関連要員数規模
    • 従業員規模別 IT関連要員数規模
■AI活用状況
  • AI活用状況(生成AIは除く)
    • 業種別 AI活用状況(生成AIは除く)
    • 売上高規模別 AI活用状況(生成AIは除く)
    • 従業員数規模別 AI活用状況(生成AIは除く)
  • 利活用中のAI技術
    • 業種別 利活用中のAI技術
    • 売上高規模別 利活用中のAI技術
    • 従業員数規模別 利活用中のAI技術
■生成AIについて
  • 生成AIの活用状況
    • 業種別 生成AIの活用状況
    • 売上高規模別 生成AIの活用状況
    • 従業員数規模別 生成AIの活用状況
    • 生成AIの活用状況(「わからない」除く)
  • 生成AIの活用用途
    • 業種別 生成AIの活用用途
    • 売上高規模別 生成AIの活用用途
    • 従業員数規模別 生成AIの活用用途
  • 利用中の生成AIサービス
    • 業種別 利用中の生成AIサービス
    • 売上高規模別 利用中の生成AIサービス
    • 従業員規模別 利用中の生成AIサービス
    • 利用中の生成AIサービス(「わからない」除く)
  • 将来的な活用目的
    • 業種別 将来的な活用目的
    • 売上高規模別 将来的な活用目的
    • 従業員規模別 将来的な活用目的
  • 生成AI活用によるビジネスへの影響
    • 業種別 生成AI活用によるビジネスへの影響
    • 売上高規模別 生成AI活用によるビジネスへの影響
    • 従業員規模別 生成AI活用によるビジネスへの影響
    • 業種別・売上高規模別・従業員数規模別 生成AI活用によるビジネスへの影響(平均値)
  • 活用における懸念事項
    • 業種別 活用における懸念事項
    • 売上高規模別 活用における懸念事項
    • 従業員規模別 活用における懸念事項
  • IT戦略や経営に大きな影響を与えそうなテーマ
    • 業種別 IT戦略や経営に大きな影響を与えそうなテーマ
    • 売上高規模別 IT戦略や経営に大きな影響を与えそうなテーマ
    • 従業員規模別 IT戦略や経営に大きな影響を与えそうなテーマ
    

 

  • 株式会社ABEJA
    • ABEJA PlatformによるLLM関連サービスの概要
  • AI inside株式会社
    • AnyDataの概要
  • 株式会社NTTデータグループ
    • Global Generative AI LABの取り組み
  • rinna株式会社
    • rinna Tamashiru Customのサービス内容
  • Stability AI Japan株式会社
  • アドビ株式会社
    • アドビの生成AI
  • アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
    • AWSの機械学習サービス群
  • 日本電気株式会社
    • NEC Generative AIにおける5つの提供価値
    • NEC Generative AI Service Menuの概要  
    • NEC Generative AI Advanced Customer Program概要
  • 株式会社日立製作所
  • 富士通株式会社
    • Fujitsu Kozuchi イメージ図

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調査要綱

調査対象:生成AI関連事業者、民間企業等
調査期間:2023年8月~10月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査、法人アンケート調査、ならびに文献調査併用

※国内生成AIの利用実態に関する法人アンケート調査とは:本調査では2023年6月~8月に国内民間企業(プロセス製造業、加工組立製造業、サービス業、流通業、金融業)538社を対象に法人アンケート調査を実施し、生成AIサービスの利用実態を踏まえ、今後の事業展開や展望について分析、考察した。ここでは現行の生成AI活用状況について取り上げる。
なお、本調査における生成AIとは、生成AIを学習したデータから様々なコンテンツを生成できるAIと定義する。生成AIには生成AIの開発や生成AIを活用したサービス、生成AIを組み込んだソリューションが含まれる。

<市場に含まれる商品・サービス>
生成AI導入に係るコンサルティングサービス、生成AIに関する教育サービス、生成AIの導入支援、生成AI/LLMの開発、生成AIの組込み、生成AIが組み込まれたソリューション、提供した生成AIのソリューションの運用保守 、生成AIを活用するための環境提供、生成AIプラットフォーム提供

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