矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2023.08.31

メタバースの国内市場動向調査を実施(2023年)

国内メタバース市場について、2027年度には2兆円を超えると予測。法人向け市場の立上げ後もコンシューマー向けメタバースのユーザーが本格的に拡大する見込み。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のメタバース市場を調査し、市場概況、メタバース事業者の動向を明らかにした。

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【図表:メタバースの国内市場規模推移・予測】

【図表:メタバースの国内市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:市場規模は、メタバースプラットフォーム、プラットフォーム以外(コンテンツ、インフラ等)、メタバースサービスで利用されるXR(VR/AR/MR)機器の合算値。プラットフォームとプラットフォーム以外は事業者売上高ベース、XR機器は販売価格ベースで算出している。
  • 注:エンタープライズ(法人向け)メタバースとコンシューマー向けメタバースを対象とし、ゲーム専業のメタバースサービスを対象外とする。
  • 注:2023年度は見込値、2024年度以降は予測値。

 

メタバースの国内市場動向の概況

2022年度の国内メタバース市場規模(プラットフォーム、コンテンツ・インフラ等、XR機器の合算値)は前年度比173.6%の1,377億円、2023年度は同207.0%の2,851億円まで成長する見込みである。

2022年度までは、試験的に事業参入する企業や新技術に関心の高い企業が積極的にメタバース事業に資金を投入し、様々な取り組みが行われた。また、自治体や行政もメタバースを活用した取り組みに参加し、多様な分野でメタバースを活用したサービスが提供された。まだ市場が形成される前のフェーズとなっており、参入事業者は競争するよりもまず業界全体を盛り上げるため、様々な業界から業務連携やコラボレーションによる実証実験が活発に行われた。メタバースの認知はこれまで穏やかに広がっていたが、一気に加速し、メタバースは熱狂的なブームとも言える状況であった。

2023年度はブームが落ち着き、またコロナ禍でのリモートワークという特殊な状況もなくなった。この変化はメタバースの活用を真剣に検討してきた事業者においては、ビジネス展開を加速するための環境が整ったともいえる。参入事業者各社のビジネスモデルも明確化してきており、市場環境が整ったことで、業績を伸ばしている企業も増えている。この流れは、今後メタバース市場が本格的に拡大する可能性を示しており、期待が高まっている。

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メタバースの国内市場動向の注目トピック

■市場トピックス~AI(生成AI等)とメタバース
メタバースは3D空間の中で莫大なデータが日々蓄積されていくため、AI(人工知能)と親和性が高く、メタバースの活用を加速する要素になると考えられる。メタバースのサービス参入事業者の中には、AI関連で様々な研究開発を行っている企業も多い。
大規模データをAIを活用して処理し、サービスを提供する事業者は今後増えていくものと見られる。ChatGPTに代表される、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)や生成AIなどAI技術を有効に活用することで、メタバース空間内での接客やカウンセリング、3Dモデル制作のコスト軽減につなげるとともに、自然な対話・応答が可能となることで需要が拡大する可能性がある。
一方で、現状では、著作権侵害や信頼性(間違いや不適切な表現、偏見を含む回答等)など、法人向けにビジネス用途でAIを活用するにはまだ解決すべき課題が多い。安全性を確保することが、メタバースにおけるAI活用・普及の前提になると考える。

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メタバースの国内市場動向の将来展望

国内のメタバース市場においては、まず法人向け(エンタープライズ)市場でメタバースを次世代プラットフォームとして活用する企業が増え、その後一般消費者を対象とするコンシューマー向けメタバースのユーザーが次第に増えて市場が拡大する見込みで、2027年度の国内メタバース市場規模は2兆円を超えると予測する。

事業者や分野ごとに見ると、今後メタバースでのコンテンツ制作のニーズは増えると考える。クリエイターエコノミー(個人クリエイターが制作物を提供し収益をあげる市場)がメタバース上に形成される段階に進めば、デジタルコンテンツの流通市場が大きく伸びて、それに伴いメタバースプラットフォーマー(プラットフォーム運営事業者)の売上も伸びていくと予測する。
また、メタバースのシステムを支えるインフラ技術(3D環境構築エンジン、クラウド、XR、NFT、AI技術など)を提供するメタバースインフラ事業者も、市場が成長すると需要が急増する見通しである。
メタバースサービスで利用されるXR(VR/AR/MR)機器に関してはまず既存のスマートフォンやPCを中心にサービスが広がり、ある時点から高機能なXRデバイスが普及し始めることで、本格的にコンシューマー向けメタバースに浸透していき、デバイスメーカーの売上が拡大する見込みである。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 「Second Life(セカンドライフ)」の概要」
  • メタバースの市場可能性に注目が集まった背景
  • Meta メタバース関連業績
  • メタバースプラットフォームのビジネス構造とステークホルダー
  • 主要メタバースプラットフォーム一覧
  • メタバース関連団体
  • メタバースの国内市場規模予測

■イベント

  • リアル×メタバース ハイブリッドイベント
  • 「バーチャル東京ガールズコレクション」メタバースのファッションフェスタ
  • 「設計製造・AI・IoT・DX バーチャル展示会」BtoB展示会
■仮想オフィス
  • 「Virbela(バーベラ)」世界中から社員が仮想オフィスに"出社"
  • 「NTT XR Lounge」出社時のような気軽な会話が可能なメタバースオフィス
  • 「Horizon Workrooms」VRミーティング/リモートでの共同作業
■トレーニング・訓練
  • 「メタバース地震体験」防災訓練
  • 建設技能者向けのメタバーストレーニング
■教育
  • 「MEキャンパス」メタバースの学校
  • 「メタバース授業」角川ドワンゴ学園N/S高等学校
■EC/ショッピング
  • 「仮想伊勢丹新宿店(REV WORLDS)」スマートフォン向け仮想都市空間プラットフォーム
  • ファッションブランド「DIOR」のメタバース取り組み
■マーケティングツール
  • 「メタバースモデルルーム」による新しいマンションの販売
  • 「NISSAN HYPE LAB」メタバースギャラリー、仮想試乗
■医療
  • 「順天堂バーチャルホスピタル」メタバース上の仮想病院
  • 「メタバース薬局」メタバースでの服薬指導
■観光・地域活性化
  • メタバース上で「ふるさと納税」のPR - 焼津市
  • 「とくしまバーチャルパビリオン」地域のPR
  • 「ANA GranWhale」バーチャルトラベルプラットフォーム
■行政
  • 「さいたまルーム」上での行政サービス運営
■福祉
  • 「障がい者向けメタバース支援」就労が困難な障がい者の新たな訓練

 

■プラットフォーム事業者

  • プラットフォーム事業者の市場参入の経緯一覧
  • プラットフォーム事業者のサービス概要一覧
  • プラットフォーム事業者のビジネスモデル/スキーム 料金体系一覧
  • プラットフォーム事業者のサービスの特徴、強み、差別化のポイント一覧
  • プラットフォーム事業者の業績動向一覧
  • プラットフォーム事業者の顧客動向一覧
  • プラットフォーム事業者の業務提携、コラボレーションなどの一覧
  • プラットフォーム事業者の事業拡大のための取り組み・注力分野一覧
  • プラットフォーム事業者の課題一覧
  • プラットフォーム事業者のメタバース市場に対する見解一覧
■メタバースインフラ提供事業者
  • メタバースインフラ提供事業者の市場参入の経緯一覧
  • メタバースインフラ提供事業者のサービス概要一覧
  • メタバースインフラ提供事業者のビジネスモデル/スキーム 料金体系一覧
  • メタバースインフラ提供事業者のサービスの特徴、強み、差別化のポイント一覧
  • メタバースインフラ提供事業者の業績動向一覧
  • メタバースインフラ提供事業者の顧客動向一覧
  • メタバースインフラ提供事業者の業績提携、コラボレーションなどの状況一覧
  • メタバースインフラ提供事業者の事業拡大のための取り組み。注力分野一覧
  • メタバースインフラ提供事業者の課題一覧
  • メタバースインフラ提供事業者のメタバース市場に対する見解一覧
■メタバース企画・制作・運用事業者
  • メタバース企画・制作・運用事業者の市場参入の経緯一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者のサービス概要一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者のビジネスモデル/スキーム 料金体系一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者のサービスの特徴、強み、差別化のポイント一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者の業績動向一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者の顧客動向一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者の業務提携、コラボレーションなどの状況一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者の事業拡大のための取り組み・注力分野一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者の課題一覧
  • メタバース企画・制作・運用事業者のメタバース市場に対する見解一覧

 

  • XR(X Reality、Extended Reality)の定義
  • 主要HMD(ヘッドマウントディスプレイ)製品
  • HMD国内出荷台数実績/予測
  • 主要スマートグラス製品
  • 国内 XR市場規模実績/予測
  • 国内NFTマーケットプレイスサービス比較表
  • 株式会社m-Lab(V-expo)
  • 株式会社ガイアリンク(Virbela)
  • クラスター株式会社(cluster)
  • 株式会社x garden(RITTAI STORE)
  • KDDI株式会社(αU)
  • 株式会社CyberMetaverse Productions(バーチャル店舗)
  • GMO NIKKO株式会社(GMOメタバース ラボ/GMOメタバース for shop)
  • 大日本印刷株式会社(PARALLEL SITE/PARALLEL ME)
  • TBT Lab株式会社(PEGASUS WORLD KIT)
  • 凸版印刷株式会社(メタパ®)
  • ナレッジワークス株式会社(ROOM)
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM Spatial Platform)
  • 株式会社パソナグループ
  • 株式会社HIKKY(Vket Cloud)

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調査要綱

調査対象:メタバース関連の技術やサービスを提供する国内事業者
調査期間:2023年4月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面接取材(オンライン含む)、一部アンケート調査、ならびに文献調査併用

※メタバースとは:メタバース(Metaverse)の言語的由来は、「超越した」を意味する"メタ(Meta)"と「宇宙」を意味する"ユニバース(Universe)"の合成語で、現在、明確に定義されたものはないが、以下のような特徴をもつ前提で認識されることが多い。

  • 現実世界と同様に時間が途切れることなく永続性を持つ。
  • ユーザーは自分の分身となるアバターを通じて仮想空間内で活動する。
  • 複数のユーザーが同時に参加し、リアルタイムで交流することができる。
  • VR機器だけではなくPC、スマートフォンなどからもアクセスが可能。
  • 仮想空間内でユーザーは社会的、文化的、経済的生活を送ることが可能。

<本調査におけるメタバースの定義と市場対象>
​本調査におけるメタバースとは、仮想と現実を融合したインターネット上に構築された3次元の仮想空間で、ユーザー同士が自分のアバターを操作して交流したり、様々なサービスやコンテンツが利用できる環境をメタバースと定義する。
なお、メタバースは、サービス対象によって大きくエンタープライズ(法人向け)メタバースとコンシューマー向けメタバースに分類できるが、本調査ではその両方を調査対象とする。但し、ゲーム専業のメタバースサービスを対象外とする。

市場規模は、メタバースプラットフォーム、プラットフォーム以外(コンテンツ、インフラ等)、メタバースサービスで利用されるXR(VR/AR/MR)機器(デバイス)の合算値。プラットフォームとプラットフォーム以外は事業者売上高ベース、XR機器は販売価格ベースで算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
メタバースを活用した各種サービス

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