株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)とZAテクジャパン株式会社(代表取締役:宋 玄壁)は、保険代理店における業務DXについて日本と中国での比較研究を実施した。
【図表:保険代理店に関するビジネス面、IT活用面における比較】
大手保険代理店、インターネット系保険代理店、InsurTech企業兼保険代理店の各々について日本と中国でビジネスおよびIT活用の観点から比較を行った。まず大手保険代理店について比較した結果、日本では一部の大手保険代理店において自社内にシステム開発部隊を抱え、業務に必要なシステムを開発できる点に加え、開発したシステムの外販を手掛ける一方、中国では業務に必要なシステムは外部調達をベースとしている点で差異がある。
また、インターネット系保険代理店における比較では、日中いずれもエコシステム(一グループ内で業界の枠を超えて共存共栄する仕組みおよび経済圏)内でサービスを完結させる点で共通する一方、違いとして中国ではエコシステム内での取組みに留まらず、保険会社や保険代理店向けにパッケージ化したクラウドソリューションの外販に加えて、ユーザーのデータをベースに保険会社と保険商品を共同開発する動きもみられる。
そして、InsurTech企業兼保険代理店について、中国ではInsurTech企業兼保険代理店の双方の機能を持った事業者がある一方、日本国内ではあまり見受けられない事業形態であり、中国企業との差異が大きいものとみられる。
■InsurTech企業 兼 保険代理店(新形態仲介業者)において日中で大きな差異
中国ではInsurTech企業兼保険代理店の双方の機能を持った事業者があり、「新形態仲介業者」とよばれる。新形態仲介業者は、InsurTech事業者を出自としており、事業拡大を続ける中で、企業向けから一般消費者向けへと順次ビジネスを拡大していった経緯を有する。
同業者の代表格であるi雲保(2014年設立)や車車科技(2016年設立)などは、設立から数年程度であるものの、既に保険料の取引規模はi雲保で2020年までに1,333億円※、車車科技も2020年に200億円※を超えている。また、従業員規模でも車車科技は約1,000人の従業員※を抱えるなど、数年で急速な成長を遂げている。
※公表データより引用
一方、日本国内では一部のInsurTech企業の中には、保険代理店も兼務で取組む事業者が存在するものの、InsurTech事業をメインとしており、日本国内ではあまり見受けられない事業形態である。しかし、金融サービス仲介業を活用した展開や、潜在顧客開拓の一環として、InsurTech企業の保有するデータを活用した保険会社との連携による若年層向けの保険開発なども考えられ、InsurTech企業の事業展開の方向性の1つとして広がっていく可能性がある。
■保険代理店におけるInsurTech日中比較の概要
■大手保険代理店における日中比較
■保険代理店の動向
■中国の保険SaaS市場発展の背景
※本レポートは、ZAテクジャパン社(衆安保険グループ)との共同研究レポートとなっております
■株式会社矢野経済研究所 代表取締役社長 水越 孝
所在地:〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
URL: https://www.yano.co.jp/
1958年に設立された独立系総合マーケティング・コンサルティング機関です。全産業分野を対象に年間250テーマ以上のマーケット・レポートを発刊するとともに600案件を超えるマーケティング・コンサルティングプロジェクトを受託しています。1995年にソウル、2004年に上海、2007年には台北に事業拠点を開設、現在はアジア全域にネットワークを構築しています。
■ZAテクジャパン株式会社 代表取締役 宋 玄壁
所在地:〒104-0045 東京都中央区築地7-2-1
URL: https://zatech.com/
ZAテクジャパンはZhongAn Groupの子会社です。
ZhongAn Insuranceは中国で初めてのInternet保険会社であり、越境EC最大手のAlibaba Group、ゲーム売上高世界一かつSNSに強みを持つTencent、中国内の保険業界で第2位の中国平安保険の合弁会社として2013年11月に設立されました。そして我々は2018年7月に日本に上陸いたしました。
日本はもちろん、その他のASEAN諸国を中心にInsurTechサービスやソリューションを提供しており、すでに多くの保険会社やインターネットプラットフォーマーと提携しDigital Insuranceの普及を推進しています。
■株式会社矢野経済研究所 広報チーム
E-mail: press@yano.co.jp
■ZAテクジャパン株式会社 オペレーション・マーケティングチーム
Email: marketing_jp@zatech.com
■レポートサマリー
●生命保険領域における国内InsurTech市場に関する調査を実施(2022年)
●生命保険領域における国内InsurTech市場に関する調査を実施(2021年)
●生命保険領域における国内InsurTech市場に関する調査を実施(2019年)
■アナリストオピニオン
●新型コロナウイルス対応はユーザー意識の改革とInsurTech 普及のチャンス
●InsurTech(インシュアテック)を後押しする法制度面の動きに注目――金融審議会による保険会社の業務範囲規制緩和の影響度合い
●「健康先進国」を実現する上でInsurTechの推進が急務――国内におけるInsurTechの現状と今後の方向性
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研究対象:日本企業12社(研究担当:矢野経済研究所)/中国企業9社(研究担当:ZAテクジャパン)
研究期間:2021年3月~10月
研究方法:日本側は当社研究員による直接面談取材/電子メールを含む電話ヒアリングおよび文献などを併用 中国側はZAテクジャパンによる直接面談取材/電子メールを含む電話ヒアリングおよび文献などを併用
<日本および中国での保険代理店における保険業務DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する比較研究について>
保険代理店について、大きく①大手保険代理店、②インターネット系保険代理店(例:ヤフーや楽天、アリ保険などインターネット企業傘下の保険代理店)、③InsurTech企業兼保険代理店(例:i雲保、車車科技)の3つに区分したうえで、日本と中国での保険業務DXについて比較研究を実施し、ビジネス面、IT活用面の双方における取組み状況を分析した。ここではその一部を公表する。
また、InsurTech(インシュアテック)とは保険(Insurance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語であり、従来の生命保険会社では提供できなかった新たな保険商品・サービスの開発や業務の効率化・高度化などにおいてIT技術を活用して提供する生命保険関連サービスを意味する。本比較研究におけるInsurTechとは、主にAIなどを活用した保険相談/保険営業支援サービスや、インフラ関連サービス(保険クラウドサービス、API (Application Programming Interface))をさす。
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