矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2012.02.17

ライフログ活用ビジネスに関する考察

ライフログの概要

ライフログとは、年齢、性別、職業などの、「プロフィール情報」、位置情報、購買履歴情報、サイト閲覧情報、テレビの視聴情報、交通機関の利用履歴情報などの「行動履歴情報」、日記、つぶやき、体重などの健康記録、写真などの「記録情報」、医療機関でカルテに記録されている「診療記録情報」などを指す。
この様な消費者のログは、機器のIT化や、携帯電話話やスマートフォンなどの移動端末の発達、普及により容易に取得することが可能となった。
具体的には、以前は紙であった書類や写真などがデジタル化され、各サーバー同志がネットワーク化された。また、ICカードなどにより個人情報や決済情報などがデバイスに格納することができ簡単に持ち運びが可能となり、触れるだけでデータ通信や書き換えが可能となった。モバイル端末においてはGPSにより位置情報が簡単に取得出来るようになった。
この様な消費者のログを活用することで、様々なビジネス展開やプロモーション活動が可能となる可能性が考えられる。
そのため、近年、政府や企業に注目されており、様々な研究や実証実験が実施されている。
主な実証実験の事例は以下の通りである。

【図表1】関連省庁のライフログに関する取組一覧
【図表1】関連省庁のライフログに関する取組一覧

矢野経済研究所推計

特に2007年から経済産業省が実施した「情報大後悔プロジェクト」が代表的な取組である。
当取組に関しては、株式会社エヌティティドコモ等の大手企業を中心に位置情報とクチコミ情報とを関連付けるプラットフォームを開発した中小企業も含め多くの企業が参加している。
この様な実証実験より、新しい領域の情報検索・分析プラットフォームを作ることが目指された。
結果、消費者のライフログ活用サービスへの一定のニーズがあることがわかった以外にも、ライフログを活用したサービス提供のプラットフォームの仕組み作りが検証されたなど、成果が得られた。

現在のライフログ活用ビジネスの動向

ライフログを活用したライフログビジネス(サービス)を分類すると以下のよな形態に分類できる。

【図表2】ライフログサービスの提供形態分類
【図表2】ライフログサービスの提供形態分類

矢野経済研究所推計

【Ⅰ.個別提供型】
消費者から取得したライフログを使って、そのまま取得元の消費者に対して何らかのサービスを提供する形態である。
現状、リリースされているサービスの大半がこの形態となる(サービス数ベース)。
具体的なサービスとして、消費者が自分の体重や体脂肪率を入力することで、グラフ化されたダイエットの変遷が参照できる健康管理ライフログサービスなどが挙げられる。

【Ⅱ.外部提供型】
消費者から取得したライフログを第三者の事業者に提供(販売など)するケースである。
このケースでは、消費者からライフログを取得した事業者はライフログプラットフォーム事業者となり、第三者である事業者はサービス提供事業者となる。
具体的事例として、プラットフォーム事業者が消費者の位置情報を取得し、普段その消費者が頻出するエリアや、頻出する時間帯を予測し、第三者である事業者に提供する。消費者のライフログの提供を受けた第三者である事業者は、その予測情報を使っておすすめ情報の提案サービスを実施するケースなどが挙げられる。
現状収益を得ているビジネスモデルの大半はこのケースであると見られる。(金額ベース)その理由として、消費者におけるライフログ自体の認知度が低く(名前も聞いたことがない:81.8%)、ライフログに対して料金を支払うフェーズになっていない点が挙げられるであろう。

今後のライフログ

ビジネスモデルに関しては、前述のような消費者へのライフログの浸透がまだまだの状態である点などから、今後も企業向けのビジネスモデルがライフログ活用ビジネスの主流になるであろう。

具体的なサービスの形態については、携帯電話端末のGPSなどを活用して消費者の現在地を把握し、その周辺のスポット情報やスポットに関するクチコミ情報が参照できる/お勧めスポットのレコメンドが受けられるなど、位置情報とクチコミとが連動したサービスが主流となるであろう。

しかしながら、ライフログのオーナーとなる消費者を特定できるような個人情報の取得や利用に関しては、その許諾や利用の撤回など難しい問題点もまだまだ存在している。この様な問題が解決されれば、各消費者にパーソナライズされた情報提供サービスなど様々なライフログ活用サービスが提供され、消費者の利便性も向上することと考えられる

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西川 徹(ニシカワ トオル) 専門研究員
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