矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2011.07.21

「ネットマーケティング関連ツール」について再考する

ネットマーケティング関連ツールの概況

ネットマーケティングツールには主に以下のようなツールが存在している。

矢野経済研究所作成

ネットマーケティングにおいて、主に「分析部分」を担うツールには、アクセス解析ツールやネット視聴率調査に加え、クチコミ分析ツールが挙げられる。
アクセス解析ツールは自社のアクセス状況などミクロのデータを把握するツールである。
これに対して、ネット視聴率調査は、競合サイトのアクセス状況が把握できるため、自社サイトとの比較などマクロ的な分析に利用できるツールとなっている。
また、クチコミ分析ツールは、CGM上のクチコミ情報を分析することにより話題となっている事柄の評判やその要因を把握できるツールとなっている。


ネットマーケティングツールにおいて、サイト内や出稿広告を最適化する「最適化部分」を担うツールには、レコメンドエンジン、LPOツール、EFOツール、サイト内検索エンジン、自動入札ツールなどが挙げられる。

 

■レコメンドエンジン
サイト訪問者の嗜好等に合致したコンテンツやアイテムなどの情報を自動的に表示させるものである。現状はECサイト の商品レコメンドに加え、最適な広告をレコメンドする広告ソリューションなど、レコメンドエンジンによる情報の最適化サービスが提供されている。

 

■LPOツール
サイト訪問者がそのサイトで初めて訪問するページ(ランディングページ)を最適化するサービスで、訪問者の意図するコンテンツやアイテムを的確に表示することにより、サイトからの離脱を防止するものである。

■EFOツール
入力フォームに最適化を図り、入力フォームページからの離脱を防止するツールである。

■サイト内検索
検索ユーザーが検索した情報をサイト内から探し出すものであるが、今やこの様な単なる検索機能の提供に留まらない。検索ユーザーの嗜好に合致した関連情報の提示、各検索ユーザーに最適な絞込み項目を都度自動的に生成し表示、検索ユーザーの嗜好に合致したページを自動更新・自動生成するなど検索ユーザーの検索履歴データを活用したサービスが登場している。

■自動入札ツール
リスティング広告を出稿する際に、自動的に出稿する各キーワードの入札価格等を最適化するサービスであるが、近年複数の媒体や複数の広告形態を一括管理できる機能や、複数キーワード出稿を総合的に最適化するサービスが提供されている。

この様なネットマーケティングツールを利用する企業は年々増加傾向にある。
近年のアクセス解析ツールの普及等によりネットマーケティング自体を実施する企業が年々増加している。
また、リスティング広告等の集客手法の普及に伴い、十分な集客力を持つサイトも増加している状況にあると見られる。これにより、サイトに集客したサイト訪問者を如何にコンバージョンに結び付けるなどサイト内での施策に注力する企業は増加している。

この様な状況により、概ね全てのネットマーケティングツールにおいて、ツール利用企業数は年々増加傾向にあるものと考えられる。

矢野経済研究所ではネットマーケティング関連ツール市場規模は以下のように推移し、今後も拡大するものと推計した。

【図表】ネットマーケティング関連ツール総市場規模推移と予測(2007年度~2012年度予測)
【図表】ネットマーケティング関連ツール総市場規模推移と予測(2007年度~2012年度予測)

矢野経済研究所推計

2007年度には145億4,300万円、2008年度には174億4,700万円(対前年度比120.0%)、2009年度には195億700万円(対前年度比111.8%)、2010年度には222億1,500万円(対前年度比113.9%)に達すると推計した。
また、今後も拡大が続き、2011年度には244億1,500万円(対前年度比109.9%)、2012年度には262億500万円(対前年度比107.3%)にまで達すると予測した。

ネットマーケティング関連ツール市場の今後

近年ツール同士を連携させる取組が事業者間のアライアンスも含め進展している。
この傾向は主に事業者がツール導入企業の負担軽減と、ツールの効果アップによる導入促進を図ることに起因するものと見られる。

どのようなツールを利用する際にも、ツール利用以外の人的オペレーションが必要となるケースが多い。
例えば、クチコミ分析ツールやLPOツールなどにおいては、ツールを利用する前に仮説立案や施策設計などが必要となり、これらを実施しなければ効果が得られない場合も多い。
LPOツールや自動入札ツールなどにおいては、クリエイティブのパターンの考案や制作が必要となるケースも多い。
この様なツール利用に伴う人的オペレーションの発生は、ツール利用企業の負担となり、実施の有無がツール利用の効果をも左右することとなる。
そのため、以下のようなツール連携によるマーケティングの自動化を図ることによりオペレーション負担の軽減を図る取組がなされている。

例えば、アクセス解析ツールとレコメンド/LPOツールの連携がこれに当たる。
アクセス解析により得られた分析結果を元に自動的にレコメンド/LPOと効果測定を実施。その結果を元に再度レコメンドやLPOを自動的に実施する。つまり、PDCAサイクルが自動化されたサービスである。
この様に、ツール連携によるマーケティングの自動化は、ツール利用者のオペレーション負担の軽減や効果的なツール利用に繋がる。これがツール導入の促進に繋がることとなる。

また、ツール同士を連携させたサービスの提供により、更にツール利用の効果を向上させたり、正確なデータを取得することが可能となる。

矢野経済研究所作成

例えば、分析ツール同士の連携が一例として挙げられる。この連携によりアクセス解析ツールで自社のサイトの状況を把握し、ネット視聴率調査で競合サイトと自社サイトの比較を実施するとともに、クチコミ分析ツールによりその結果に至った要因等を分析できる。

今後はツールベンダにおいて他社とのアライアンスや自社での展開も含めツール連携が加速するものと見られる。

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