矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2008.09.30

SNSユーザーのサイト訪問頻度を向上させるには?

SNS定義の7つのポイント

ECサイト、ポータルサイト、ポイントサイト、ブログ、SNS、比較サイトなどの媒体を運営していく際、サイトPV(Page View)数の向上やユニークユーザー数(サイト訪問者数)の向上は、サイトの売り上げ向上には欠かせない要素である。このようなサイトのトラフィックの向上のための方策として、新規ユーザー獲得と、既存ユーザーの訪問頻度の向上などが挙げられる。今回は、これらのうち既存ユーザーの訪問頻度向上にスポットを当て、SNSを例に挙げ、SNSユーザーがサイトチェックする目的から、SNSユーザーのサイト訪問頻度を向上させる方策について考えてみる。

SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービス(またはソーシャル・ネットワーキング・サイツ)の略で、代表的なサービスとして、「mixi」「モバゲータウン」「GREE」などが挙げられる。SNSには明確な定義がなく、年々解釈の内容も変化しているのが現状といえるが、当社ではSNSを以下の通り定義する。

(1) インターネットユーザーが情報を発信できるサイト
(2) 会員制であること
(3) マイページを持つこと
(4) 日記機能があること
(5) コミュニティ機能があること・コミュニティの開設が自由にできること
(6) アクセスコントロール(公開範囲の設定)機能があること
(7) 会員は別の会員の友人関係が閲覧できること

上記の定義により、個人ホームページ((2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)がない)、2ちゃんねるのような一般掲示板(少なくとも(3)、(4)、(6)、(7)がない)、BBS・チャット(少なくとも(3)、(4)、(6)、(7)がない)、ユーザーレビュー(少なくとも(3)、(4)、(6)、(7)がない)、SNS機能のない一般的なブログサービス(少なくとも(5)、(7)がない)などのCGMは、SNSではない、と定義づけられるのではないだろうか。

SNSをテーマにより分類すると、大きく「総合型」SNSと「特化型」SNSの2つに分けられる。「総合型」SNSとは「mixi」のようなテーマが絞られていない総合型サービスであり、「特化型」SNSとは「MySpace Japan」(音楽特化型)のようにあるテーマに特化したサービスである。
また、これらのサービスにはSNS機能(日記機能、掲示板機能など)のほかに、ゲーム、ニュース、ジョギング記録、英語学習エンジンなど、サイト独自のコンテンツを提供しているサービスも存在する

SNS利用者アンケート調査結果から見えてくるもの

このたび当社では、当社ウェブアンケートモニターのうちSNS利用者672名を対象に、「SNSをサイトチェックする目的」に関するアンケートを行なった(2008年7月実施)。その結果、「他のユーザーの日記や投稿が気になる」という回答がもっとも多く利用者の42.4%を占め、これに「自分の日記や投稿に対するレスが気になる」41.5%、「マイページの足跡が気になる」29.5%、「暇つぶし」27.8%と続く結果になった(※図1)。

「暇つぶし」を除き、「日記・投稿・レスなど他のユーザーのアクションが気になる」ということが、おもなサイトチェックの動機となっており、「サイトのコンテンツ」や「サイトのイベント」が動機となるケースは少ないことが窺える結果になった。

図1:SNSのサイトをチェックする(訪問する)目的 (MA、n=672)
図1:SNSのサイトをチェックする(訪問する)目的 (MA、n=672)

ここでSNSユーザーの行動を以下の

A) コンテンツの閲覧/利用
B) 情報の発信
C) 情報の閲覧

の3つに分類し(※図2)、「SNSをサイトチェックする目的」に関するアンケートの結果を考察する。A)のコンテンツの閲覧/利用は、ゲームやニュースなどのサイトコンテンツの閲覧/利用。B)の情報の発信は、自分の日記や投稿などに加え、他人の日記や投稿に対するレス。C)の情報の閲覧は、他人の日記や投稿などの閲覧に加え、C)-2の自分の日記や投稿に対するレスの閲覧も含む。
このようにSNSユーザーの行動を考えた場合、SNSのサイトチェックの目的に関するアンケート結果は、次のようなことを示している。

◎「C)情報の閲覧( C)-2 自分の情報発信に対するレスの閲覧を含む)」を動機としてサイトチェックを行なうユーザーが多く、「A)コンテンツの閲覧/利用」を動機としてサイトチェックを行なうユーザーは少ない。アンケート結果でもっとも多かった「他のユーザーの日記や投稿が気になる」という回答は「C)情報の閲覧」にあたり、続いて多かった「自分の日記や投稿に対するレスが気になる」という回答は、「C)-2 自分の情報発信に対するレスの閲覧」にあたる。

◎「C)情報の閲覧」が増加するためには、他人の日記や投稿すなわち「B)情報の発信」が増加しなければならず、「C)-2 自分の情報発信に対するレスの閲覧」が増加するためには、自分の日記や投稿すなわち「B)情報の発信」が増加しなければならない。

そのため、SNSにおいて既存ユーザーの訪問頻度を向上させるためには、「A)コンテンツの閲覧/利用」を促進させるよりも、「C)情報の閲覧」を促進させるほうがより効果的であるといえ、「C)情報の閲覧」を促進させるためには、「B)情報の発信」を促進させることが必要となってくる。

図2:SNSユーザーの行動の分類
図2:SNSユーザーの行動の分類

「B)情報の発信」を促進させるためには、頻繁に日記の更新や記事の投稿を行なうSNSヘビーユーザーに対して、さらに情報発信を促すための施策を検討しなければならない。

またそれに加えて、あまり日記の更新や記事の投稿を行なわずSNSサイトの閲覧を主体とするROM(Read Only Member)に情報発信してもらうことも重要となってくる。たとえば、頻繁に日記の更新を行ない、日記のネタに苦しむヘビーユーザーに対しては、日記のお題を提供することで、ユーザーにスムーズに日記を更新してもらうといった方策が考えられる。また、あまり日記の更新や記事の投稿を行なわないSNSユーザーに対しては、他のSNSユーザーの投稿に、クリックひとつで共感を表せる機能の提供により、コミュニケーションに参加してもらうといった方策が考えられる。

日記などテキスト投稿のみに留まらず、ユーザーによって作成された音楽や動画などの投稿や、ユーザーの日々の記録の投稿も、ユーザー同士が比較し合い、ユーザー自身のモチベーション向上に繋がり重要と考えられる。そのため、音楽や動画などスムーズな再生のためのインフラの整備や、SNSユーザーの日々の健康管理機能(ジョギング走行距離や日々の体重などグラフ化され記録できる機能)などの提供も有効であろう。このように、「B)情報の発信」を促進させるためには、すべてのSNSユーザーが情報発信しやすい機能の提供や環境作りが重要となってくると考えられる。

SNSにおいて、ユーザーの日記や投稿(小説投稿、音楽投稿、動画投稿等含む)などのUGC(ユーザー生成コンテンツ)を増やし、活性化させることが、ユーザーの訪問頻度向上につながり、ひいてはSNSサイトPV向上に繋がる。また、UGC活性化のためには、SNSユーザー同士のつながりが重要であることはいうまでもない。

西川 徹(ニシカワ トオル) 専門研究員
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