矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2010.10.01

企業サイトの成功とアクセス解析運用実態の関係

企業活動において、ブランディングや商品のプロモーション、商品販売などを可能とするホームページの重要性は年々増している。企業ホームページは重要な宣伝媒体であり、販売チャネルであり、情報収集の場として、ビジネス活動に欠かせないツールとなっている。このような中、自社サイトに効率的に顧客を集客し、サイト内で効果的に適切な情報を提供していくなど、Webマーケティング活動の重要性が増している。
Webサイトやモバイルサイトを、より効率よく運営していくために欠かせないのが、効果検証である。その効果検証において必要なものがアクセス解析となる。

今回は、企業のWebマーケティング活動に重要な役割を果たしているアクセス解析がサイトの成果とどのように関係しているのか、について企業のWebサイト関連者へのアンケート結果から見てみる。

アンケート調査概要

提携先インターネットモニター会員のうち、勤務先でWebサイトを開設しており、Webサイト業務に携わっている人をプレリサーチで抽出。これらの担当者を対象に、アクセス解析の運用状況などに関するアンケートを実施した。調査実施概要は以下の通りである。

1.調査方法
弊社提携先Webアンケートモニターに対するWebアンケート調査
2.調査時期
2010年7月16日~2010年7月20日
3.調査対象
以下のa.~b.の条件に合致する人407名
a.勤務先でWebサイトを開設
b.勤務先がアクセス解析を実施
c.勤務先従業員数11名以上
d.アクセス解析の選定や管理に関与している者or決済に意見できる者or最終決済権者
4.調査内容
勤務先ホームページでのアクセス解析運用状況と意識に関する調査

2年前と現在のアクセス解析結果確認者の変化
~様々な部門で確認者が増加。高まるHPの重要性~

勤務先企業の中で、どのような部門の人がアクセス解析結果を確認しているのか、2年前と比べて結果を確認する部門に変化が見られるのか、について質問した。

【図表】2年前と現在のアクセス解析結果確認者の比較
2年前と現在のアクセス解析結果確認者の比較

2年前との比較では、全ての部門担当者のアクセス解析結果確認比率が高まっている。つまりホームページのアクセス状況などに関心を持つ部門・担当者が拡大している状況から、企業におけるホームページの重要性が増していることが窺える結果となっている。
なお、2年前と比較して「マーケティング担当者」(4.2ポイント増)、「広報担当者」(4.1ポイント増)、「経営者」(3.4ポイント増)の確認比率が他と比べて大きく高まっている。

勤務先サイトの成果に対する評価

勤務先サイトの成果についての評価をヒアリングした結果は以下の通りとなっている。

【図表】サイトの成果に対する評価とアクセス解析運用の関係
サイトの成果に対する評価とアクセス解析運用の関係

「十分に成果を上げている」「まずまず成果を上げている」とサイトの成果を評価する意見が71.0%を占めている。
この勤務先サイトの成果に対する評価結果とアクセス解析運用状況の関係を、以降で見てみる。

サイトに対する評価とアクセス解析運用の関係

サイトの成果を高く評価するほど、アクセス解析業務を重要な取組であると認識し、明確な目的を持ってアクセス解析を実施する傾向が強くなっている。

【図表】サイトの成果に対する評価とアクセス解析運用の関係
サイトの成果に対する評価とアクセス解析運用の関係

また、サイトの成果を高く評価する担当者が所属する企業では、アクセス解析業務が重要な取組であるとの認識から、専業部署で解析を実施するなど組織体制が整備されており、有償ツールや有償レポーティングサービスを活用するなど、解析するための投資を怠っていないことが窺える結果となっている。

【図表】サイトの成果に対する評価とアクセス解析運用の関係
サイトの成果に対する評価とアクセス解析運用の関係

有償ツールや有償レポーティングサービスを活用することで、サイトの成功に繋がっている、という側面もあろうが、まず、アクセス解析に対する意識の高さ、これによる組織の整備が、サイトの成功に繋がる重要な要因であることは間違いがないのではないだろうか。

アンケート結果より、アクセス解析を重視し、注力して取り組む企業において、サイト成果に対する評価が高くなる傾向がある事が判った。
サイト成功のためには、まず企業内においてアクセス解析の重要性を認識させることが重要であると考える。この重要性を最も認識するべき人は、企業の経営層であろう。
アクセス解析結果を確認するだけでなく、得られる結果を具体的なアクションに落とし込まないと、サイトの成果は向上しない。また実施したアクションを検証し、再度アクションに落とし込む、という繰り返しにより、サイトの成果は向上することとなる。
これらの作業を、他の業務と兼業しながら担当者が実施することは困難であろう。つまり、専業部門・担当者を組織することが必要となる。
組織を変更できるのは経営層である。経営層がアクセス解析の重要性を理解し、組織を変更することがサイトを成功させるための重要な取組になると考える。

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