近年ネットの普及に伴い、消費者の購買行動において、販売チャネルの多様化や購買行動の多様化が見られる。
ネット上には商品に関する様々な情報が氾濫しており、商品を購入する前に事前に情報収集する消費者も多いと見られる。
今回は「消費者はどのようなプロセスで購入まで意思決定をしているのか」について、フィリップ・コトラーの提唱する「5段階の購買プロセスのモデル」に当てはめて考えてみたい。
フィリップ・コトラー「コトラーのマーケティング・マネージメント」によれば、消費者の購買決定プロセスは、図表1のように主に5段階に分けられる(但し、これらの段階を順番に通過するケースや、ある段階を飛ばすケース、プロセスの順序が逆になるケースが存在する)。
この段階では、内部刺激(飢えや渇き)や外部刺激(広告)によりニーズが引き起こされ、問題やニーズを認識する段階。この段階で消費者は商品を認識し、商品に対する興味や関心が生まれる。
この段階は以下の2つのレベルに分類できる。
高められた注意のレベルでは、当該製品に敏感になっているに過ぎない段階。この段階で、消費者はテレビCMなど当該製品情報に敏感になる。
積極的な情報探索のレベルでは、ネットで検索、友人に話す、店舗へ訪問など、様々な情報収集を実施する段階。情報源には
の4種類があり、「個人的情報源」が最も影響が大きいとされる。
また、この「積極的な情報探索のレベル」では、情報収集を通して以下のような商品の絞込みが行われる。
この段階では、ある程度絞り込まれた消費者のニーズを満たす製品群(上記第2段階の「選択集合」)を、更に商品スペックなどの比較項目を絞り込み、その項目の優先順位を決定し、製品の順位付けを総合的に行う。
この段階では、第3段階で概ね購入商品が決定してから、他人の評価による動機付けを行い、購入するかどうかを最終的に決定する。また、この段階で消費者は他人の評価を参考にすることで、商品購入の確信を得る。
※今回は購入までの意思決定プロセスに関する考察のため同段階は省略する。
以上のような「消費者の購買決定プロセス」に、消費者の購買意思決定プロセスを当てはめると、以下のようなプロセスが想定される。
矢野経済研究所作成
認知、興味、関心、欲求等により、商品に興味を持った消費者は、予算の概算、支払方法、購入場所などの「購入条件の洗い出し/明確化」を行うと考えられる。
次に消費者は、利用者の特定、利用シーンの想定、利用頻度の想定など「利用条件の洗い出し/明確化」を行うと考えられる。
この様に、ある程度購入条件や利用条件が定まった消費者は、これらの条件に合致した評価軸(比較軸)や商品自体の把握と絞込みを行うことで、「商品の大まかな絞込み」を行うと考えられる。
また、同時に標準的な評価軸(比較軸)を把握し、商品、評価軸(比較軸)に関する情報を収集することによって、更に商品を絞り込んでいくと考えられる。
上記の商品絞込みの過程の中で、消費者は既に注目しているいくつかの評価軸(比較軸)中でも、特に重視する評価軸(比較軸)を絞り込み、絞り込んだ評価軸の優先度をつける。
この様に、異なる評価軸(比較軸)で商品を総合的に比較することで、商品自体の順位付けを行うと考えられる。
購入したい商品の順位付けをした後に、「該当商品を既に購入している消費者の評判は悪くないか」、「他の販売店舗で値引きはしていないか」など商品自体や購入先を最終決定するものと考えられる。
この様な消費者の購入意思決定プロセスは、比較サイトに加え、ブログ、SNS、Twitter等のCGMサービスで情報収集する消費者が増加している背景のひとつとなっているのではないだろうか。
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