矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2023.03.27

多様な働き方を支えるインターネット環境の増強において重視すべきポイント~トラフィックの急増に対応した回線サービスのアップグレードが重要~

Sponsored by アルテリア・ネットワークス株式会社

1.DXを背景にクラウドの利用率が初めて7割超え、テレワークも急拡大する一方、通信環境に課題

新型コロナウイルス感染症の猛威を受け2020年4月に出された緊急事態宣言以降、業界を問わずに多くの企業が働く場所の制約を取り払うべく、Web 会議システムやグループウェア、ファイル共有サービスなどのクラウドサービスの導入を積極的に進めている。
総務省が毎年実施している「通信利用動向調査」によると、まずクラウドの利用率は2021年9月の調査において利用率が初めて7割を超える結果となった。毎年上昇傾向が続いているうえ、利用の効果も「非常に効果があった」「ある程度効果があった」との回答が利用企業の84.9%と、クラウドサービスの導入効果を実感している状況にある。
グローバルでも、クラウドサービスの市場規模は二桁成長を続けており、国内のクラウドサービスの利用状況は引き続き堅調に伸びていくことが期待されている。
また、多様な働き方に伴い、顕著に増えてきているのがテレワークである。従来、その導入状況は10%強程度に留まってきたものの、2020 年以降、導入企業が急増し2021 年に初めて導入済と回答した企業が5 割を超えるなど、ワークスタイル環境が急速に変化してきている。

【図表1:クラウドサービスの利用状況】

【図表1:クラウドサービスの利用状況】

注:出典:総務省「通信利用動向調査」(2021年9月調査)より抜粋

 

【図表2:テレワークの導入状況】

【図表2:テレワークの導入状況】

出典:総務省「通信利用動向調査」(2021年9月調査)より抜粋

多様な働き方に対応したクラウドサービスの採用が増える一方、そうしたサービス利用を支えるインフラである、インターネット接続回線が需要に対応しきれず、次のような課題が表出してきている。

【図表3:クラウドサービス導入後の課題】

【図表3:クラウドサービス導入後の課題】

このようにユーザー企業が抱える課題を解決し、クラウドサービスやテレワークが持つメリットを享受するためには、インフラとなるインターネット接続回線の選定が重要になる。
そうしたなか、従来、ベストエフォートで1Gbps 以下のインターネット接続回線サービスで対応していたものの、働く場所の分散化や取引先とのオンライン会議が増えるに伴いトラフィックがひっ迫し、上記の課題が表出してきている状況にある。そうした状況になることを先取りし、数年前からアルテリア・ネットワークスをはじめ、複数の回線事業者において10Gbps のインターネット接続回線サービスの提供を開始している。
そこで本レポートでは、今後普及が期待される10Gbps のインターネット接続回線を選定するうえで、冒頭で記載した3 つの課題に対応すべく選定に際してのポイントを記載する。
課題①に対しては「通信速度の速い回線」、課題②に対しては「可用性が担保された安定性の高い回線」、課題③に対しては「柔軟性の高い回線」として、次項から具体的な選定に際してのポイントを記載していく。

2.課題①:トラフィック量の増大によるレスポンスの遅延―――「通信速度の速い回線」の選定ポイント

前述の通り、クラウドサービスやテレワークが急速に普及し、オフィスへの出勤や在宅勤務など働く場所の分散化が進み、リモートアクセスやWeb会議が急増している。それに伴いクラウド上でのトラフィック量が急増した結果、業務ソフトなどを利用する際に、操作が重くなるほか、動画の遅延や画質の劣化など、レスポンスの遅延が生じることがある。そうした課題に対するインフラの基本能力を比較するために、インターネット接続回線の3つの指標に関する比較結果を見てみたい。
この調査では、クラウドアプリケーション利用時のスループットをみるために「①通信速度」を比較対象としている。また、往復の遅延時間(RTT)が短くなるほど、高いスループットが期待できるため「②RTTの測定」を行っている。そして大容量のファイルを受け渡す際に、ファイル転送がストレスなく使えるかを比較するために「③容量1GBのファイル転送時間」を比較している。それぞれの結果について、最適な数値に色が付いている。
なお、速度測定サイトおよび接続端末のスペック上、現状では10Gbpsを出せる測定環境を用意することが難しい状況にある。このため、図表から一見すると10Gbpsはオーバースペックと思われがちであるが、既に10Gbpsの導入事例があるほか、実業務では、複数台の端末を使い、同時利用するため、10Gbpsの回線はオーバースペックではないとみる。
この結果を見てわかる通り、クラウドサービスの応答速度はインターネット接続回線によって大きく異なる。クラウドサービスの活用に際しては、クラウド上でトラフィック量が増大した際にも応答速度が維持できる回線を選定することが重要であることがわかる。

【図表4:速度測定サイトによるスループット比較】

【図表4:速度測定サイトによるスループット比較】

 

【図表5:PSPingコマンド実行によるRTTの測定比較】

【図表5:PSPingコマンド実行によるRTTの測定比較】

※各クラウドサービス(AWS、Azure、GCP、サイボウズ)のTCP/443に対してPSPingコマンドを実行し、RTTを30回測定した結果の平均値

 

【図表6:容量1GBのファイル転送時間における比較】

【図表6:容量1GBのファイル転送時間における比較】

※容量1GB のファイルを各々のクラウドサービスに3回アップロード/ダウンロードした場合における転送時間の平均値
※アルテリア・ネットワークス株式会社が提供している光ファイバーサービスには、「UCOM光 ファストギガビットアクセス」にて検証
※<図表4~6>の測定事業者:アルテリア・ネットワークス株式会社
※<図表4~6>測定条件:比較数値は、回線ごとに朝、昼、夕の時間帯に計測した平均値
※<図表4~6>比較数値は測定時のもので、端末の性能や速度測定サイト、測定時間帯により変動
※<図表4~6>調査時期:2023年2月9日~ 2023年2月13日の平日
※<図表4~6>各回線サービス提供事業者:アルテリア・ネットワークス株式会社(UCOM光 ファストギガビットアクセス)、東日本電信電話株式会社(フレッツ 光クロス)、ソニービズネットワークス株式会社(NUROアクセス NEXT 10G)
※<図表6>Azureの場合、ファイル転送に制限がかかる場合があるため、本検証においてはSharePointにて実施

3.課題②:不安定な通信―――「可用性が担保された安定性の高い回線」の選定ポイント

クラウド化した基幹システムなどのネットワークが途切れたり、システムがダウンしたりしてしまうと、ビジネスに多大な影響を与えることになる。そこで本項では回線提供事業者が安定性の高い回線を提供するために取り組んでいる工夫について触れたい。まず「回線の提供方法」には、大きく分けて「専有型」と「共有型」がある。「専有型」は1社に1本を直収で敷設することや状態を常時監視していることなどから、複数ユーザーが回線をシェアする「共有型」と比較するとコスト面では若干割高となる。しかし、各社の利用状況に応じて、トラフィックのコントロールや増設を柔軟に行うなど、一定の品質を維持、提供することが可能であり、輻輳を回避することが可能となっている。
一方、「共有型」は、回線を分岐する分、コストを安く抑えられるものの、近年のトラフィック量の増加に対して許容量が追い付かず、速度低下が生じる可能性がある。
また、「輻輳の可能性」について、「共有型」の場合には、スプリッタの分配ポイントなどで輻輳が生じる可能性がある。一方、「専有型」は輻輳ポイントがなく安定した回線を提供できると考えられる。
このように安定性を重視するのであれば、「専有型」の回線を選定することが望ましいといえるだろう。

【図表7:専有型/共有型】

【図表7:専有型/共有型】

 

【図表8:専有型/共有型の仕組みの違い】

【図表8:専有型/共有型の仕組みの違い】

4.課題③:トラフィック状況に対応した複数の選択肢―――「柔軟性の高い回線」の選定ポイント

速度や安定性だけではなく、インターネット環境の選定においては、ビジネスの成長や業務のIT化など自社の状況に合わせた環境の構築が求められる。クラウド化の進展に加えて、在宅勤務など多様な働き方が急速に広がりリモートアクセスやWeb会議などの増加により企業のインターネット環境がひっ迫している状況にある。
しかしながら、そうした状況に対応すべく、従来の1Gbpsから10Gbpsへと一足飛びにアップグレードするのは自社のトラフィック量によっては拙速に過ぎる。当然、構築コストに加えて、月額回線料も跳ね上がるため、インターネット環境は大きく改善したものの、コストが成長の重荷となっては元も子もない。
そこで自社のトラフィック状況に合わせて2.5 Gbpsや5Gbpsのように複数の選択肢から工事不要で柔軟にネットワーク環境を増強できる点も重要な選定ポイントになるだろう。

5.回線選定に際して意識したいポイント

ハイブリッドワークの普及を背景に、クラウドサービスの活用が急速に進んでいる一方、クラウドサービスの導入企業においては「トラフィック量の増大によるレスポンスの遅延」、「不安定な通信」、「トラフィック状況に対応した複数の選択肢」などの課題が発生している。
そのような課題を見越し、適切なインターネット環境を整備していくためには、「通信速度の速い回線」、「可用性が担保された安定性の高い回線」、「トラフィック状況に対応した柔軟性の高い回線」を選定することが重要となる。具体的には、クラウド上でのトラフィック増大時でも応答速度が速く、専有型で安定的な速さを持ち、柔軟にアップグレードできる回線を選定することが望ましい。そして今後、DXを更に加速していくうえでは、10Gbpsが企業のインフラとして必要になっていくとみる。
こうしたポイントで比較した結果、アルテリア・ネットワークスのインターネット接続サービス「UCOM光 ファストギガビットアクセス」は、専有型ならではの安定的な速さやSLAに裏付けられたバックボーンの品質の高さに加え、10Gbpsに留まらず、2.5Gbpsや5Gbpsのメニューから成長に合わせて選択できる点でアドバンテージがあるといえる。

山口泰裕

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山口 泰裕(ヤマグチ ヤスヒロ) 主任研究員
ITを通じてあらゆる業界が連携してきています。こうした中、有望な業界は?競合・協業しうる企業は?参入障壁は?・・・など戦略を策定、実行に移す上でさまざまな課題が出てきます。現場を回り実態を掴み、必要な情報のご提供や戦略策定のご支援をさせて頂きたいと思います。お気軽にお声掛け頂ければと思います。

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