矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2018.12.03

アリババのリアル展開

アリババが展開しているリアル店舗のショッピングモール「亲橙里(チンチェンリー)」はアリババの本社に隣接しており、アリババの考えるニューリテール戦略の実証実験場所として利用されており、最先端の技術を取り入れたサービスをアリババ社員が実利用をし、顧客目線でのサービスを検討する場所として活用されている。

店内を回遊して感じるのは、オンラインとオフラインの融合を戦略的に強く打ちだしている所である。店内に入るとすぐに、売り出したい商品の試供品が自動販売機のようなものに陳列されており、欲しい商品をタップして、QRコードを読み取ると、試供品を受取ることが出来る。

アパレルショップに行くと、モニターが設置されており、モニターの前に立つと、画面上で自分の立つ位置を指定され、指定された所に立つと全身のスキャンが始まり、数秒後には、そのお店がレコメンドするファッションにバーチャル上で試着できるようになっている。

バーチャルで着替えが出来るだけでなく、その場で、細かいサイズの調整やカラーの選択、洋服の着せ替えが出来るようになっている。将来的には、そのファッションを気に入れば、そのままQRコードを読み取って支払いが出来るサービスを志向していくようである。

地下一階のに行くと、OMOスーパーマーケット「盒馬鲜生(ファーマーションシェン)」がある。そこは、スーパーマーケット、レストラン、オンラインショップ、デリバリーの4つの機能を有している。

 

基本的には、購入したい商品をセルフレジに持っていき、商品のQRコードを読み込むことで、金額を確定していく。そして、Alipayで決済をすることでチェックアウトが完了する。

100%に近い形でQRコード決済が行われているが、現金でしか支払いが出来ない人のために、サービスカウンターの中に現金支払いコーナーが設けてある。また、セルフレジの端末で、オンラインショッピングを指定すると、ネットショッピングが可能になり、特に急を要さない重たい荷物などに関しては、デリバリーを選択することもできる。  また、生鮮食品に関しては、その場で調理をお願いすることが可能で、そのまま食事(Eat In)をすることができるようになっている。

亲橙里は空間デザインが洗練され、店内のレイアウトは人流を作るための導線がきれいに引かれており、かなりハイエンドなショッピングセンターとなっている。アリババが目指すオンラインとオフラインの融合に関する世界観は、バーチャル空間をリアルな世界に組み込むものであり、最先端の技術とUI/UXの高度化を突き詰めることで、より洗練された最先端の消費デザインを提案し続けていくであろう。                                       

世界的にリテールの無人化・省人化が進んでおり、亲橙里も無人化・省人化に関するリーディングカンパニーの一つとなる可能性が高い。ただし、現状は中国自体が大きなガラパゴスという側面を持っているため、その影響力をどこまで世界的に広げていけるかが重要なファクターとなる。インバウンド顧客へのキャッシュレス化対応が遅れているため、今後は決済手段の多様化、もしくは、インバウンド顧客向けのサービスとどうのように向き合っていくかが問われている。

高野 淳司(タカノ ジュンジ) 主任研究員
数多くの取材を通して得ることの出来た「生の情報」を元に、お客様が抱えている問題にしっかり耳を傾け、もっとも効果的な解決方法を発見できる調査を提案することをモットーとしています。

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